新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は9月14日、結晶シリコン系太陽電池セル(発電素子)の変換効率で、世界最高となる26.33%を、実用サイズ(180cm2)で達成したと発表した。
ヘテロ接合とバックコンタクト型を採用したもので、従来の世界最高記録である25.6%を約0.7ポイント更新し、26%をはじめて突破した。
「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」プロジェクトにおいて、カネカが開発に成功した。
ヘテロ接合は、物性の異なる半導体材料を接合する技術で、この場合、結晶シリコンとアモルファス(非晶質)シリコンの組み合せとなる。電気に変換できる光の波長が異なる材料を組み合せることで変換効率を向上できる。
バックコンタクトは、太陽電池の裏側だけに電極を形成して効率的に電気を取り出す技術。一般的な太陽電池セルは、表に電極があるため、その分、受光面積を減らすことになる。電極を裏面に集約することで、受光面が広くなり、変換効率が高まる。
カネカの開発したアモルファスシリコンを用いたヘテロ接合技術や、電極の直列抵抗を低減させる技術、太陽光をより効率的に利用できるバックコンタクト技術を組み合わせることにより実現した。
カネカでは、今回の成果を活用した太陽光パネルの製品化を計画している。
NEDOとカネカは、2020年に14円/kWh、2030年に7円/kWhという発電コストの実現を目指している。その実現に向け、高効率と高信頼性を兼ね備えた太陽電池を低コストで製造できる技術開発に取り組んでいく。