国際エネルギー機関(IEA)は14日、2015年におけるグローバルのエネルギー投資が8%下落したと発表した。

 投資額の減少は、石油・ガス分野での落ち込みが主因。再生可能エネルギーや電力網、省エネルギーなどへの投資額は、堅調に増加したが、化石系の大幅減を相殺し切れなかった。

 2015年におけるエネルギー分野での投資総額は1.8兆ドルで、2014年の2兆ドルから下落した。これらの結果は、IEAが新しく刊行した調査報告書「World Energy Investment 2016(WEI2016)」に基づいている。

 IEAのファティ・ビロル事務局長は、「全体として、よりクリーンなエネルギーへの資金移動がみられる。政策の成果によるものも多い。進展はあるが、エネルギー安全保障や気候変動対策の目標達成のため、各国政府が今後も一層努力する必要がある」と述べている。

 国別では、3150億ドルの支出をエネルギー供給インフラに費やした中国が、今年も最大のエネルギー投資国だった。低炭素型の発電所や電力網の建設、省エネ政策の導入などの取り組みが堅調だったという。

 米国では、2015年におけるエネルギー供給の支出が2014年比で約750億ドル減の2800億ドルに下落した。これは原油価格の下落とコスト縮減によるもの。米国の支出減は、世界全体のエネルギー支出減のほぼ半分に相当する。

 中東とロシアは、エネルギー支出の削減から回復の最も早い地域として台頭してきた。これは、製造コストの低下と為替レートの変動が要因という。

 再生可能エネルギーへの投資は3130億ドルで、全エネルギー支出のほぼ20%を占めた。電力への投資において、再エネが最大の電源として確立したことになる。

 再エネ設備容量への支出は2011年から2015年まで横ばいだったが、新設容量から供給された電力は33%増加したという。これは、風力タービンと太陽光パネルのコスト下落が急速に進んだことを反映している。

 2015年の再エネ設備への投資は、世界全体の電力需要の伸びをカバーして余りあるという。

 技術革新は、スマートグリッドや蓄電池における投資を促進したとする。いずれも、大量の風力や太陽光を系統に接続するうえで、今後極めて重要な役割を果たすと期待されている。

 電力系統向け定置型蓄電池への投資は、2010年以降10倍に拡大した。この分野は、今後も引き続き多額の投資を吸い上げるとしている。