大規模な太陽光案件を対象にした第2回入札の結果が明らかになり、「落札者なし」という結果に終わった。この背景には、今回から非公表にした上限価格の水準が、大方の予想よりも低かったことがある。

参加者は募集枠を下回る

 一般社団法人・低炭素投資促進機構は9月4日、太陽光発電(2MW以上の特別高圧連系案件)を対象にした第2回入札(平成 30 年度上期)の結果を公表した。それによると、入札に参加したのは9 件・196.96MWで、募集容量(250MW)を下回ったものの、すべてが上限額である15.50 円/kWhを上回り、「落札者なし」という結果になった(図1)。

図1●不落の案件(事業計画)一覧
図1●不落の案件(事業計画)一覧
(出所:一般社団法人・低炭素投資促進機構)
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 今回の入札では、上限価格を非公表とした。これは、上限価格を公表した第1回入札への反省からだった。第1回では、応札量が募集容量を下回ったこともあり、上限価格で落札された案件(事業計画)が2つあった。そのため8月2日に非公開の調達価格等算定委員会(以下、算定委)を開催して上限価格を決め、非公表のまま、入札を実施した。

 その結果、入札した9 件のうち、最低価格の案件でさえ16.47円/kWhで、上限価格を約1円超えていた。「落札者ゼロ」という結果を見る限り、算定委や政府の想定しているコスト水準に開発事業者が追い付いていないことになる。

 ただ、現時点であまり競争的になっていない国内の入札制では、参加者は、政府の決める上限価格をやや下回る額で札を入れようとする傾向が強くなる。第1回入札では、上限価格を同年度の非住宅太陽光の買取価格と同額の21円/kWhと設定し、事前に公表していた。第2回も同じ考え方をとるなら、18円/kWhとなり、実際に、入札した9件のうち8件は18円/kWh以下ではあった。

 一方で、非公開の上限価格を決めた算定委での公開資料には、上限価格の決め方に関し、「海外の動向などを含めて参考にし、より一層の価格低減トレンドを踏まえる」との文言もあり、第1回に比べて挑戦的な価格設定にすることを示唆していた。「挑戦的」の下げ幅を1円とするなら、第2回の上限は17円/kWhとなる。低めに札を入れた案件でも、16円台/kWhにとどまったのは、こうした読みだったと推測される。