第一生命保険と日立製作所は2016年9月6日、「医療ビッグデータ」を生命保険事業に活用するための共同研究を開始したと発表した。将来の疾病罹患や予後を予測するモデルなどを構築し、保険アンダーライティング機能(保険の引き受け・支払い査定機能)の高度化や、新たな保険商品の開発などにつなげる狙いだ。

 共同研究のテーマとしては、次の2つを掲げる。第1に「一人ひとりの健診結果と健診受診後の入院・手術などとの関係を分析し、将来の疾病罹患の予測に加え、その重症度や続発症、併発症などの予後の状況も予測するモデルの構築」。第2に「第一生命が有する保険の引き受けに関する医学的知見・ノウハウと、日立が有するデータサイエンススキル・ノウハウの融合による、両社における医療データ・サイエンティストの育成・強化」。

 この共同研究を通じ、第一生命は保険アンダーライティング機能の高度化などを目指して、「引き受け範囲の拡大」「商品・サービスなどの開発への応用」「最先端解析技術の活用研究」に取り組む。

 引き受け範囲の拡大では、将来の疾病罹患を予測するだけでなく、その重症度や予後まで予測。顧客一人ひとりのリスクをより詳細に把握し、これまで持病や病歴を理由に保険に加入できなかった顧客も加入できる仕組みを検討する。

 商品・サービスなどの開発への応用では、長期にわたって蓄積したデータから、介護や高額な医療費を必要とする疾患につながりやすい因子を解析。疾病予防や健康増進につながる情報提供や新しい商品・サービスなどの開発を検討する。

 最先端解析技術の活用研究では、医療ビッグデータの高度な解析に向けて、AI(人工知能)などの最新統計技術を研究する。