米国カリフォルニア州議会の下院は8月29日、2045年までに州内の電力の100%を温室効果ガスが排出しないエネルギーで賄うとする法案「SB100」を可決した。

 同法案はカリフォルニア州議会のケビン・デ・レオン上院議員が2017年5月に起草したもので、当初はエネルギー業界などの反対により成立しなかったが、約1年半を経て同州の上下両院で可決され成立する見通しとなった。

 同州のジェリー・ブラウン知事は、再生可能エネルギーの導入に積極的な姿勢を示しており、同知事が署名すれば州法として成立、施行される。

 SB100ではこれまでに同州で策定されていた再エネ利用比率基準(RPS)を踏襲しつつ、さらにクリーンエネルギーの導入比率を高めていくことが策定されている(関連記事)。

 具体的には、電力の再エネ比率を2026年までに50%に、2030年までに60%まで引き上げ、最終的に2045年までに温室効果ガスを排出しないエネルギーで電力をすべて賄うとする。

 同法案は再エネ関連の規制として、米国内ではハワイ州やバーモント州に次いで高い目標を示すものとなる。ハワイ州は2045年までに100%の電力を、バーモント州は2032年までに75%を再エネで賄うとする州法をそれぞれ可決している。

 なお、「再エネ100%」ではなく「温室効果ガスを排出しないエネルギーで100%」としているのは、原子力発電や二酸化炭素回収貯留(CCS)といった再エネ以外の他の技術でも目標を達成する余地を考慮したためという。

 ただ、現在同州で唯一、稼働中の「ディアブロ・キャニオン原子力発電所」は、2025年に廃炉となることが既に決まっている。CCSのコストも一朝一夕には大幅な下落が見込めないため、安全性やコストなどを考慮すると実質的にSB100は太陽光や風力などの再エネで100%を達成することになる公算が大きいと考えられる。