NECと関西電力は、住宅やビル等に分散して設置された多数の蓄電池と、系統電力との連係を想定した実証実験を開始する(ニュースリリース)。今回の実証実験では、NECが独自技術を用いて進めてきた「分散配置の多数の蓄電池を遠隔からリアルタイムで制御する手法」と、関電の電力系統の連係を想定している。

実証実験の概要。NECのスライド。
実証実験の概要。NECのスライド。
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 NECの手法では、階層協調制御方式と仮想統合制御技術を使う。前者は、蓄電池個々への出力分配の全体最適化とリアルタイム・同期制御を可能にする制御情報の配信方式。後者は、蓄電池個々の状態や台数、上位システムの要求に基づき、各蓄電池の出力を最適分配する技術である。

「階層協調制御方式」とは。NECのスライド。
「階層協調制御方式」とは。NECのスライド。
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 今回の実証実験では、多数の蓄電池を遠隔から高速に充放電制御することにより、次の2つが同時に実現できるかを確かめる。1つは、蓄電池本来の利便性である、エネルギーマネジメントやBCP対策等が行えること。もう1つは再生可能エネルギー導入時における電力系統の安定化に寄与する「周波数制御」が行えることである。

 なお、両社は、今回の実証実験のベースとなった技術の研究成果の一部を「電気学会 電力・エネルギー部門大会」(2017年9月5日~7日)において論文発表する。論文タイトルは「階層協調制御方式を用いた蓄電池群監視制御システムの制御特性」である。