GEヘルスケア・ジャパンは、半導体検出器を搭載したPET/CT装置「Discovery MI」とSPECT/CT装置「Discovery NM/CT 670 CZT」を2016年8月25日に発売した。診療・研究の専門性が高い大学病院や研究施設、総合大型病院を主要ターゲットにする。

TOF性能が向上

 PET/CT装置のDiscovery MIは、「LightBurst Digital Detector」と呼ぶ半導体検出器を搭載。これにより、TOF(Time of flight:一対の消滅放射線の検出器到達時間差)時間分解能を飛躍的に向上させ、病変を診る解像度を従来の2倍に向上させた。また、コンプトン散乱リカバリーという技術の開発により感度、NECR(雑音等価計数率)を約20%向上。従来の半分の検査時間で、PET/CTによる被曝量を半分に抑えた検査が可能になるという。

PET/CT装置のDiscovery MI
PET/CT装置のDiscovery MI
[画像のクリックで拡大表示]

 大阪大学大学院医学系研究科 放射線統合医学講座核医学 教授の畑澤順氏は、Discovery MIについて次のように述べている。「従来のPMT(真空管の電子増幅装置)と違ってSiPM半導体(シリコンベースの電子増幅器)を使用しているため、TOF性能アップにより画質が向上している。また、感度と空間分解能も高いレベルで両立していることで、特に従来のPETではできなかった微小の構造体が描出できることを期待している」。

 また、国立国際医療研究センター 放射線核医学科診療科 科長の南本亮吾氏は、「高いTOF性能を有するだけでなく、高感度で検出器カバレッジが大きいため、FDG-PET腫瘍検査において短時間検査化と低被曝化による患者負担の軽減が期待できる。特に特異度の高い新規PET製剤の研究領域においては、微小病変の描出能の高さが新規薬剤のポテンシャルをいっそう引き出せる可能性がある」と述べている。