米ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は7月14日、2016年上半期までのクリーンエネルギーのグローバル市場に関する調査結果を発表した()。

 2016年第2四半期におけるクリーンエネルギー関連投資は615億米ドルとなり、第1四半期と比べて約12%増となったが、極めて強含みだった前年同期と比べると32%の減少となった。

 BNEFの最新データから2016年のこれまでの傾向を見ると、第1四半期と第2四半期の数字を合算した上期における投資は1164億ドルとなり、前年同期比で23%の減少となっている。

 2016年の第1四半期における欧州の数字は4%増の335億ドル、ブラジルは36%増の37億ドルだった。

 しかし、その他の全地域では減少している。中国は34%減の337億ドル、インドは1%減の38億ドル、それ以外のアジア太平洋地域は47%減の121億ドル、中東およびアフリカでは46%減の42億ドル、米国は5%減の231億ドル、米国とブラジルを除く南北アメリカは、63%減の23億ドルだった。

 同社によると、2016年の再エネに対する投資は現時点でほぼ確実に過去最高を記録した前年を下回るとみられる。その要因の第1は、中国における風力と太陽光のプロジェクトにおける資金調達が昨年は予想よりも大幅に多かったからだとする。今年は電力需要が伸び悩み、政策の変更も影響している。

 今年のこれまでの再エネへの投資が低調な第2の理由は、太陽光発電の市場で起きている変化だという。多くの国で太陽光パネルや施工費用が安くなり、しかもkW単価が相対的に高い小規模なプロジェクトから、設備投資の観点では単価が安いメガソーラー(大規模太陽光発電所)への転換が進行しているためとしている。

2015年の再エネ投資額は極めて画期的

 2016年の現在までの数字が低調な一方で、BNEFの今回の発表ではクリーンエネルギー関連への昨年の投資額が想定よりはるかに大きかったことも明らかとなった。改訂された数字では2015年の新規投資は3485億ドルとなり、1月に発表されていた予測値の3289億ドルを約200億ドル上回った。

 改訂では、当初は開示されていなかった投資案件に関する情報も反映されている。2015年のデータ全体で最も大きな変更は2つあった。第1の変更は、主に中国と米国のウインドファームやメガソーラーへの資産投資(asset finance)に290億ドルの上方修正が行われたこと。第2の変更は、小規模な分散電源の設備容量、特に日本の住宅用太陽光発電システムに対して100億ドルの下方修正が行われたことだとしている。

 BNEFは今回発表された第2四半期の数字に対して、あまり否定的に見るべきではないという。昨年の3485億ドルという投資額が、2014年より11%増、2013年より30%増と極めて画期的なものだったからである。