日本IBMは2018年7月31日、いわゆる「3省4ガイドライン」へのIBM Cloudの対応状況を示した「医療機関向けIBM Cloud IaaSクラウドサービス対応セキュリティリファレンス」が公開されたと発表した。同リファレンスは、三菱総合研究所が調査・公開した。これにより、日本IBMはAI技術や医療業界向けソリューションを含むクラウドサービスの提供を加速するとしている。

 3省4ガイドラインは、電子化された診療情報をクラウドサービスを利用して外部保存したり、医療情報システムを構築・運用したりする場合に準拠することが求められる、厚生労働省・総務省・経済産業省が公開しているガイドラインの総称。今回のリファレンスは、主に医療機関・SI事業者などが医療情報システムをIBM Cloud IaaS上に構築・利用する場合を想定して、3省4ガイドラインの各項目に対するIBM Cloud IaaSの対応状況を調査したものである。

 日本IBMは、1995年から電子カルテを中核とする統合医療情報システム「IBM CIS/CIS+ソリューション」などの医療向けソリューションを国内の主要な大学病院やグループ病院に提供してきた。IBM Cloudは、IBM CISソリューションを運用する藤田保健衛生大学病院が電子カルテデータの災害対策用バックアップシステムとして採用し、2018年7月31日から運用を開始した。また、同社のビジネス・パートナーであるミナリスの統合型医療情報システム基盤(病院向け電子カルテシステム)や、ナイスの医事会計システムのレセプトビュー機能などがすでにIBM Cloudを採用している。

 日本IBMとしては、医療・ヘルスケア業界のユーザーにおけるクラウド需要が今後さらに高まると考え、IBM Cloudの安全性やプライバシー管理に関する第三者の調査を依頼したという。今後、IBM Watson API、データ分析ソリューションなどIBM Cloud経由で利用可能なサービスを組み合わせて提案していくことで、医療業界の顧客の先進的なIT活用を一層支援していくとしている。