長崎大学とキヤノンメディカルシステムズは、ジカ熱のウイルスを従来法の1/3以下の時間(核酸抽出後の検出時間が30分)で検出できる「ジカウイルスRNA検出試薬 Genelyzer KIT」を共同開発した。キヤノンメディカルが2018年6月18日付で、体外診断用医薬品の製造販売承認を取得した。

 Genelyzer KITは、ジカウイルスRNA検出用の体外診断用医薬品としては「国内初」(キヤノンメディカルシステムズ)だという。研究開発着手から2年間で承認を取得した。今後、国内の検疫施設、病院などに配備されることを目指し、水際でのジカウイルス感染症感染症予防対策に貢献することを目指す。

 今回の迅速検査法に関する研究開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業において、「国内侵入・流行が危惧される昆虫媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策に関する研究」(2016年度)、「国内侵入・流行発生が危惧される昆虫媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策に資する開発研究」(2017年度~)(研究代表者:林昌宏氏 国立感染症研究所)の支援により行われた。

 Genelyzer KITの開発体制は、ブラジルのペルナンブコ連邦大学に属する研究機関「Laboratory of Immunopathology Keizo Asami」(LIKA)と日本の研究班による共同研究の枠組みで、まず長崎大学が2016年7~12月に検査法の基本性能試験をLIKAで実施。その後、同年12月にLIKAとキヤノンメディカルは臨床性能試験委託契約を締結。ブラジル、次いで長崎大学で臨床性能試験を行ってきた。

 なお、今回の共同開発の詳細については2018年7月26日、国立感染症研究所(戸山庁舎、東京都新宿区)で開催される「The 2nd Brazil-Japan Collaborative Research Workshop on Zika Virus」で報告される予定。