香川県は7月8日、ため池を活用した太陽光発電の実証実験の結果を発表した。実証実験は、2014~2015年度にかけて実施した。
土地改良区などが管理している、ため池や畑地灌漑(かんがい)施設の揚水機などの維持管理費の負担を、太陽光発電電力事業によって軽減できるかどうかを検証する目的とする。
まず、県内にある5カ所のため池において、水面に設置可能な発電設備の形式、整備費や維持管理費、日照条件などの現地調査をもとに経済性などを確認した。ここでは、国の補助事業(再生可能エネルギー導入検討事業)を活用した。
その後、ため池の水面を使った太陽光発電において、水位の変動、風や波など気象の変動の影響、設置機器の性能などを見極めるため、2014年11月から、善通寺市にある吉原大池の水面に太陽光パネルを浮かべ、実証実験に取り組んだ(図1)。
同じため池内で、同一条件の下、太陽光パネルの設置角、フロートの形式、係留の方法など、3 タイプの異なる設備を設置し、検証した。委託した事業者は、三井住友建設・高松営業所である。
水面に太陽光発電システムを設置した吉原大池は、堤高が8.0m、堤長が247m、貯水量が37.6万m3、受益面積は76haとなっている。
太陽光パネルを水面に浮かべる部材であるフロートは、3種類を使った(図2)。樹脂製の中空タイプ、発砲スチロール製、樹脂製パイプに発砲スチロールを充填したタイプである。出力はいずれも6.12kWで、フロートの違いによる発電量の差は見られなかった。
設置角は、樹脂製中空型、発砲スチロール型がそれぞれ12度、樹脂製パイプ型は、5度、12度、30度の三つの角度で検証した(図3)。
樹脂製中空型は、フランスのシエル・テール・インターナショナル社製を採用した。中空型の部材を組み合わせて構成することから、現場での運搬がしやすく施工性が良いと評価している。パネルの設置角は、12度のみとなる。
発砲スチロール型は、兵庫県を中心に普及しているものを採用した。5m角の正方形の部材に9枚のパネルを固定する。施工時には、クレーンを使って水面に降ろす。経済性は最も高いと評価している。設置角は任意に設定できる。
樹脂製パイプ型は、奈良県で採用実績があるものを採用した。塩化ビニル製パイプ内に発砲スチロールを充填した構造で、発泡スチロール型より高価となる。現地で組み立てた後、クレーンを使って水面に降ろす。設置角は任意に設定できる。