国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は7月8日、米ニューヨークの国際連合本部で9~18日の間に開催される会議「持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」に参加し、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」への再生可能エネルギーの寄与と、社会経済におけるエネルギー転換の実質的かつ分野横断的な利点について訴えると発表した。

 今回のテーマ「持続可能でレジリエントな社会に向けた転換」のもと、同会議では、SDGsで掲げた17の目標のうちの第7目標である「安価で信頼性が高く、持続可能な現代のエネルギーへのアクセス」(SDG7)など、多くのSDGsへの取り組みについて振り返る。

 IRENAは、再エネの導入を加速することがSDG7と、「その他のカギとなる目標」の達成のために重要であることを明確に示すという。「その他のカギとなる目標」としては、健康(SDG3)、雇用と経済成長(SDG8)、持続可能な都市(SDG11)、気候変動対策(SDG13)などを挙げている。

 IRENAのアドナン・アミン事務局長は、「再エネは世界のエネルギーシステムを急速に転換し、我々をエネルギーの新時代へと移行させつつある。このシフトは気候変動における我々の長期的な目標の達成を助けるだけでなく、その他のカギとなる目標の実現に寄与するだろう」と述べている()(関連記事1)。

図● IRENAのアドナン・アミン事務局長
図● IRENAのアドナン・アミン事務局長
(出所:日経BP)

 IRENAの分析によると、再エネと省エネを組み合わせることで、2050年までに気温の上昇を2℃より低く抑制するという「パリ合意」で策定された目標の90%を達成できる可能性があるという。

 また、再エネの導入を加速することは、従来のエネルギー政策を維持する場合と比較して世界全体のGDPを1%押し上げるとともに社会福祉を15%向上させ、2050年までに再エネ関連の雇用は現在の1030万人から約2900万人まで拡大しうるとしている(関連記事2)。

 IRENAは現在も世界の10億人以上が未電化地域で暮らしており、オフグリッドの再エネ技術が解決のための手段だと指摘している。オフグリッドの設備容量は、2008年の2GWから2017年の6.5GWへと3倍以上に拡大している。

 アミンIRENA事務局長は、10日に開催されるSDG7のエネルギーに関する公式レビューでモデレーターを務める予定。