パワーコンディショナー(PCS)大手である独SMA Solar Technologyは6月20日、ソーラーコイン財団と香港のベンチャー企業SolarLuxとの事業提携を発表、仮想通貨(暗号通貨)の1つである「SolarCoin(ソーラーコイン)」の導入を検討していることを明らかにした(図)。

独SMAソーラーテクノロジーは仮想通貨「ソーラーコイン」の導入を検討していることを明らかにした
独SMAソーラーテクノロジーは仮想通貨「ソーラーコイン」の導入を検討していることを明らかにした
(出所:SMA Solar Technology)
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 SMAは同社が運用する太陽光発電の遠隔監視プラットフォーム「Sunny Portal」を介して、太陽光発電所を所有、運用している顧客企業にソーラーコインのエコシステムを紹介していく方針という。

 SMAテクノロジー・センター&サービス部門で責任者を務めるマティアス・ビクター氏は、「ソーラーコインはブロックチェーン技術の分野でもっとも興味深いプロジェクトの一つで、時間をかけてその動向を注視していた。今回の提携でSunny Portalを介してソーラーコインに直接アクセスできるようになることで、どのような付加価値を顧客に提供できるかを現在、検討している」と説明する。

 ソーラーコインのプロジェクトを主導するソーラーコイン財団の目的は、太陽光発電の事業者にソーラーコインというインセンティブを無償で付与することによってグローバルなエネルギー転換を加速することである。ソーラーコインのプロジェクトに参画している太陽光発電の事業者は現在、1MWh当たり1ソーラーコイン(SLR)を付与されている。

 ソーラーコインは、初めてエネルギーに関連付けられた仮想通貨という。ビットコインやイーサリアムといった他の仮想通貨と同様にブロックチェーン技術に基づいているが、分散台帳をネット上で運用するために必要となる演算(マイニング)の負荷が低いため、より低炭素という特徴があるとしている。

 SolarLuxは、今後SMAのSunny Portalプラットフォームにソーラーコインを統合するための技術を開発するとみられる。これによって、現在30万カ所以上ある太陽光発電所でソーラーコインを容易に獲得できる可能性があるという。

 ソーラーコインに関しては、2018年1月にサウジアラビアの大手電力会社であるACWAパワーが主要な発電事業者として初めて同仮想通貨の採用を発表している(関連記事)。