キュア・アップは、「高血圧治療アプリ」の臨床研究を開始した。高血圧患者の降圧効果、生活習慣の改善との関係を評価し、同アプリの有効性を検証するため、多施設臨床研究(140人で実施予定)を実施する。今後、プログラム医療機器としての薬事承認を目指す。

「高血圧治療アプリ」の画面イメージ
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 高血圧治療アプリは、自治医科大学 内科学講座循環器内科学部門 教授の苅尾七臣氏らと共同開発した。IoT血圧計を用いた血圧モニタリングと生活習慣ログなどのデータから、個人の血圧特性と生活習慣を自動分析し、各自に最適な治療ガイダンスを提供するアプリである。提供する治療ガイダンスは、具体的には、食事、運動、睡眠などに関する知識や行動改善を促すための情報となる。

 30歳以上の日本人男性の約60%、女性の約45%が高血圧と判定されているが、生活習慣の改善については、介入(指導)法に関するエビデンスが少ないため確実な効果が得にくい状況にあるとキュア・アップは指摘する。そこで、今回の臨床研究により、高血圧治療における生活習慣改善と行動変容のエビデンスを構築することを目指すという。

「高血圧治療アプリ」の画面イメージ
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 高血圧治療アプリは、時系列データの蓄積によりアルゴリズムを改良することが可能であるため、患者の利用が増えるほど、その介入精度が高まると説明する。そのため、同アプリの普及拡大は、高血圧に対する投薬量や受診頻度の継続的な低減につながり、将来的な医療費削減にも貢献できるとしている。

 キュア・アップは、「治療アプリ」の開発を手掛けるデジタルヘルス・ベンチャー。既に、「ニコチン依存症治療用アプリ」の治験を2017年10月に開始した他、「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療アプリ」は、2018年4月から多施設での臨床試験に着手している。