再生可能エネルギー関連の国際団体であるRenewable Energy Policy Network for the 21st Century(REN21)は6月18日、毎年発行している再生可能エネルギー年次報告書の2019年度版「自然エネルギー世界白書2019(Renewables 2019 Global Status Report)」を発表した。

 同報告書によると、「新たに導入された再エネ発電量は、4年連続で化石燃料と原子力の新規発電容量を上回った」という。2018年に導入された再エネは合計181GW、太陽光発電だけでもフランスの電力需要の25%を賄える量に相当する100GWに達した。

2012~2018年に新規導入された再エネ発電量
2012~2018年に新規導入された再エネ発電量
(出所:REN21)
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 太陽光と風力発電は、いまや電力部門の主流となっており、90カ国以上で1GW以上、30カ国で10GW以上の再エネ電力設備が設置されている。また、少なくとも9カ国で太陽光と風力が発電量の20%以上を占める。

 さらに都市の取り組みは、国や州・地方のイニシアティブを超えており、100以上の都市が少なくとも70%以上の再エネ電力を使用するほか、50以上の都市が電力、温熱や冷房、交通部門の再エネ目標を定めている。

 その一方で、温熱・冷房および交通部門では、多くの国々で脱炭素を推進するための意欲的で持続した政策に欠けており、エネルギー転換の便益が最大化されていないと指摘する。世界の供給電力に対する再エネの比率は26%以上だが、温熱利用に使用されるエネルギーに対しては10%、交通部門に対して3%強にとどまっている。

 交通分野では、ブラジルは27%のエタノール混合義務、米カリフォルニア州は低炭素燃料標準プログラムといった意欲的な政策を行っている。温熱部門では、依然としてカーボンプライシング制度といった政策はほとんど利用されていない。2018年末までに同制度を実施したのは44の国政府、21の州・県、7の都市に過ぎず、世界のCO2排出量の13%に留まる。

 また、各国が化石燃料への助成金をカットすれば、重要なブレイクスルーが起こると予測する。2017年でも112カ国が化石燃料に補助金を出し、少なくとも73カ国ではそれぞれ1億米ドル(約110億円)以上を出している。2017年の世界における化石燃料に対する補助金の総額は、2015年比11%増の推定3000億ドルだった。