日立造船は6月13日、国内最大規模となる200Nm3/hの水素を製造できる大型固体高分子型水素発生装置を開発したと発表した。メガソーラー(大規模太陽光発電所)やウインドファーム(大規模風力発電所)など、出力変動のあるMW級の再生可能エネルギー発電施設の余剰電力を貯蔵できるという。2018年度中に実証実験を開始する。

 水を電気分解し、高純度の水素を製造する。固体高分子型電解槽の採用により高効率に水素を製造できるという。太陽光や風力発電などの急激な電力負荷変動にも追従できる。国内最大規模となる200Nm3/hの水素製造能力を持ち、MW級の電力変換に対応した国内初の製品としている。

40フィートコンテナに収めた大型固体高分子型水素発生装置
40フィートコンテナに収めた大型固体高分子型水素発生装置
(出所:日立造船)
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 同社の持つ電解技術とフィルタープレスの技術を融合させることで、電解槽の大型化に成功した。40フィートコンテナに収納した可搬式とすることで、設置コストを抑えた。ボンベの運搬・保管・交換が不要になる利点もあるという。

水素製造の仕組み(左)と固体高分子型電解槽(右)
水素製造の仕組み(左)と固体高分子型電解槽(右)
(出所:日立造船)
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 柏工場で性能確認試験や耐久性試験などの実証実験を行った後、2019年度から本格的に販売を開始する予定。また、CO2と再エネ由来水素を反応させてメタンを生成するメタネーションプロセスの開発にも取り組む。

 同社は、1974年の通商産業省工業技術院(当時)によるサンシャイン計画から一貫して水素発生装置の開発に取り組んでおり、2000年には水素発生装置「HYDROSPRING」の販売を開始し、官庁、研究機関、民間企業向けに生産用や研究開発用に多数の納入実績がある。