図1 SELTECHと台湾Dream Park社との合弁会社である「元和国際」の設立発表会の様子。
図1 SELTECHと台湾Dream Park社との合弁会社である「元和国際」の設立発表会の様子。
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図2 SELTECHが開発する「ハイパーバイザー」を使ったシステムの概略図。CPUとOSの間に制御プログラム「ハイパーバイザー」(下から2番目の層)を挟むことで、複数のOSを独立して実行できる。
図2 SELTECHが開発する「ハイパーバイザー」を使ったシステムの概略図。CPUとOSの間に制御プログラム「ハイパーバイザー」(下から2番目の層)を挟むことで、複数のOSを独立して実行できる。
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 ソフトウエア開発企業のSELTECHは2016年6月2日、台湾太子グループのDream Park社と共同で台湾に合弁会社「元和国際」を設立した(図1)。新会社はセキュリティーや音声認識、人工知能(AI)などの分野に向けたソフトウエアを、台湾や中国市場向けに提供する。セキュリティーやIoTサービスの重要性が高まる自動車分野を中心に、製造業や家電、通信分野など幅広い適用を目指す。

 新会社では、組み込み車載システムや自動運転、音声認識、言語翻訳、通信、スマートホームなどの応用に向ける制御ソフトウエアを取り扱う。特に自動車関連では、SELTECHが強みを持つセキュリティー技術を生かし、ハッキングに対して堅牢性の高いシステムの開発に貢献する。新会社の出資元である太子グループは、台湾で初の商用向け電気自動車(EV)を開発した実績があり、同グループの車両の組み込みシステムに元和国際のソフトウエアを適用する計画だ(関連記事)。

 元和国際の会長で台湾の工業協進会理事長を務めるKen Senjong Hsui氏は、同社のソフトウエア技術を生かして「台湾産業の国際競争力を高めたい」と話す。同社は日本の大手自動車部品メーカーと共同で自動車部品を開発し、中国市場へ展開する計画を持つ。台湾ではEV関連産業が主力産業の一つに育っており、中国向けの販売を増やしたい狙いがある。日本の自動車部品メーカーも、欧州勢の存在感が強い中国市場でいかにシェアを伸ばすかが重要な課題となっている。今回のように、台湾の地場企業と組んで中国への展開を図ることは有効な手段となる。