太陽光発電に特化した独立系の調査機関である米PV Evolution Labs(PVEL)は6月4日、太陽光パネルの信頼性に関する調査結果をまとめた報告書「PVモジュール信頼性スコアカード」の2019年版を公開した(図1)。
同調査はPVELがノルウェーの第三者調査機関であるDNV GLと提携して取り組んでいるもので、今年で5回目となる(関連記事1)(関連記事2)。
今回の調査では、2018年の前回と比較して信頼性や耐久性が向上した分野がある一方、評価を行った部品表(BOM)の太陽光パネルの30%以上が1種以上の試験基準で不合格になったとしている。
2018年の「高湿高温(Damp-Heat:DH)」試験における劣化と同様のトレンドが、今回の調査でも引き続き確認されたとし、その主な理由の一つとしてPERC(裏面不動態式セル)技術を採用したパネルのいくつかが想定以上に大きく劣化したことを挙げた(図2)。
PVELで最高商務責任者(COO)を務めるTara Doyle氏は、「太陽光産業が採用している新しい技術は、信頼性を証明するために長期間にわたって現場で収集されたデータがまったく、もしくはほとんどない」と述べている。
PVELは毎年の同調査を「製品認定プログラム(PQP)」の一環として手がけており、信頼性や耐久性に優れた太陽光パネル製品のブランドを「トップ・パフォーマー」として認定、発表している。
今回の調査では、30%以上のパネルが複数の試験基準で不合格になったことに加えて、BOMの10%が少なくとも1つの安全基準で不合格となったこと、動的機械荷重試験と高湿高温試験の「トップ・パフォーマー」の結果が過去の試験データと比較してそれぞれ37%と38%悪化したことなども明らかにした。
PVELは2012年に太陽光パネルのPQPを開始し、それ以来50社以上のメーカーの300件以上のBOMの試験を行った実績がある。調査会社の米ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が現在「Tier-1(ティアワン)」に定めているメーカーの75%以上が同プログラムに参加したことがあるという。
ただ、同プログラムへの参加はメーカー次第であり、出荷枚数の多い主要な太陽光パネルメーカーでも必ずしも参加していない。
また、2018年は日本のメーカーとしてパナソニックが唯一参加し、トップ・パフォーマーの認定も受けていたが、同社は今年の参加を見送ったとみられる。以前の調査で何度か同認定を受けていた京セラも参加しておらず、今年はこれまでで初めて同認定を受けた日本の太陽光パネルメーカーが1社もないという結果になっている(図3)。