EPFLが試作した高効率ペロブスカイト太陽電池
EPFLが試作した高効率ペロブスカイト太陽電池
(写真:Alain Herzog / EPFL)
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試作したペロブスカイト太陽電池を手にするEPFLのGraetzel氏
試作したペロブスカイト太陽電池を手にするEPFLのGraetzel氏
(写真:Alain Herzog / EPFL)
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 スイスの大学 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne(EPFL)は2016年6月9日、セルの寸法がほぼSDカード大のペロブスカイト太陽電池を、塗布プロセスに簡易な真空プロセスを組み合わせた手法で試作し、セル変換効率20%超を達成したと発表した。成果は、学術誌「Science」に掲載されたという。

 ペロブスカイト太陽電池のセル変換効率の最高値は韓国化学研究所(KRICT)と韓国の蔚山科学技術大学校(UNIST)が開発したセルの22.1%だが、セル面積は0.1cm2と非常に小さかった。今回は、SDカード大と比較的大きな寸法のセルで初めてセル変換効率が20%を超えた。

 今回のセルを開発したのは、色素増感型太陽電池の開発で知られるEPFL Laboratory of Photonics and Interfaces、Professor of Physical ChemistryのMichael Graetzel氏の研究チーム。Graetzel氏らは今回、まずは光吸収層となるペロブスカイトのインクをガラス基板上にスピンコート法で塗布した(YouTubeの動画)。次に、「Vacuum Flash」と呼ぶプロセスで、真空に引きながらインクの結晶化を進めた。これによって、余分な成分が除去され、結晶化のための種の形成が促されるのだとする。結果、高品質なペロブスカイト結晶を得ることに成功したという。

30%越えも視野に

 Graetzel氏は、ペロブスカイト太陽電池を既存のSi系太陽電池と組み合わせたタンデム構造にすることで、変換効率は30%を超えると予想する。そうした太陽電池の理論効率は44%と高いという。。