ルネサスエレクトロニクスは、待機電力が13.7nW/Mビットと非常に低い、埋め込みSRAMを開発した(ニュースリリース)。同社によれば、「13.7nW/Mビット」は、これまで発表された埋め込みメモリーの中で世界最小の待機電力だとする。電池レスのエナジーハーベスティングのIoT/ホームエレクトロニクス/ヘルスケア機器など向けの専用IC/ASSPに、同社は開発した埋め込みSRAMを活用していく。

試作した128Kビットの埋め込みSRAM。ルネサスの写真。
試作した128Kビットの埋め込みSRAM。ルネサスの写真。

 今回のSRAMは、完全空乏型SOIプロセスである「SOTB(Silicon-On-Thin-BOX)」を使って実現する。SOTBは一般的な完全空乏型SOIに比べて、BOX(埋め込み酸化膜)層が薄いことが特徴である。このため基板バイアス制御が行いやすく、リーク電流の削減効果が大きい。その特徴を活かしたのが、今回の埋め込みSRAMである。

22個のサンプルで今回の埋め込みSRAMの特徴を確認。ルネサスのスライド。
22個のサンプルで今回の埋め込みSRAMの特徴を確認。ルネサスのスライド。
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 冒頭に紹介した「世界最小」の待機電力によって、電池レス/エナジーハーベスティング機器での埋め込みSRAMの利用機会を増やしたり、電池内蔵機器の電池寿命を延ばしたりすることができる。例えば、遠隔地でたまにしか動作しない監視用IoT機器では、不揮発性メモリーを使うことなく十分に長い電池寿命を確保できるため、保守コストの低減が見込める。