再生可能エネルギー関連団体のRenewable Energy Policy Network for the 21st Century(REN21)は6月1日、年次報告書「再生可能エネルギー世界白書2016(Renewables 2016 Global Status Report)」を発表した。

 2015年は、再エネの新規導入量が約147GWとなり、過去最大となった。太陽光・風力発電の導入で、各国政府のリーダーシップが寄与していると分析している。

 現在では、173カ国が再エネの導入目標を持ち、146カ国が政策で支援している。都市や地域コミュニティ、企業が「100%再エネ」を実現する取り組みを拡大していることも、世界的にエネルギーの転換を推し進める役割を担っているとする。

 また、資金の調達の改善や、エネルギーに関する安全保障、発展途上国や新興国において、バイオマス熱利用、太陽熱利用、環境配慮型の水力発電といった現代的なエネルギー関連サービスへの需要が高まっていることも、導入の拡大を後押ししているとしている。

 2015年の再エネ発電設備と燃料設備への投資額は、約2860億米ドルとなった。この額には、出力50MW以上の大規模な水力発電や、熱利用は含まれていない。

 投資額の3分の1以上は、中国が占めている。これにより、投資額において、新興国と発展途上国が先進国を初めて上回った。

 日本は、中国、米国に次ぐ第3位の投資額を維持した。日本は、太陽光発電への投資が合計出力が約11GWと、中国に次いで世界第2位の規模となった。稼働済みの累計でも合計出力約35GWとなり、中国とドイツに次ぐ第3位の規模となっている。

 世界的な投資の拡大に伴い、技術の進展、コスト低減、雇用拡大が一層進んだ。現在、810万人が再生可能エネルギー分野に従事しているという。一方、エネルギー分野全般の労働市場は落ち込んでいる。

 今後の課題として、電力系統に再エネを高い比率で、かつ、効果的に統合していくこと、政策的・政治的な不安定性に対処すること、規制の障壁、財政的な制約などを挙げている。

 また、輸送部門や温熱・冷熱部門における、導入の進捗の遅れも指摘している。