国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は25日、世界全体の再生可能エネルギー産業における雇用が現在810万人以上で、昨年に較べて5%増加したと発表した。

 同機関が第11回会合で公開した調査報告書「Renewable Energy and Jobs – Annual Review 2016」によるもので、大規模な水力発電も含めると控えめに見てもさらに130万人の直接雇用があるという。

 IRENAのアドナン・アミン事務局長は、「雇用の増加は、再エネ技術におけるコストの低下とエネルギー政策の枠組みによってもたらされている。パリで合意された気候変動対策の目標を達成するために今後もこの傾向が続く」と述べている。

 同報告書によると、2015年にエネルギー分野全体では雇用が減少した一方で、再エネ関連の雇用は世界全体で増加した。例えば、米国では再エネが6%増加した一方で、石油とガスでは18%減少した。同様に、中国では再エネが350万人を雇用した一方、石油とガスの雇用は260万人だった。

 前年までと同様に、再エネにおける雇用のカギを握る要因は、再エネを後押しする政策の枠組みだという。インドやブラジルにおける国や州による入札、米国における税額控除、日本の固定価格買取制度(FIT)などのすべてが、雇用の増加に寄与している。

 2015年に再エネによる雇用が多かった国は、中国、ブラジル、米国、インド、日本、ドイツだという。

 種別では、太陽光発電が引き続き再エネ最大の分野となっており、世界全体で280万人を製造、設置、保守・運用などで雇用している。これは、前回の250万人から11%の増加となっている。特に、日本では2014年に28%増加したと同機関は指摘している。

 IRENAの試算では、世界全体の電源構成で再エネの比率を2030年までに倍増させると、気候変動対策や持続的な開発の目標を達成できると同時に、2400万人以上の雇用創出に繋がるという。