実証事業での結果の一部
実証事業での結果の一部
出所(九州電力)
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 九州電力は5月19日、太陽光発電の遠隔出力制御システムを実用化するための実証事業の成果を公表し、「良好な結果を得た」と評価した。これは、経済産業省の補助事業(次世代双方向通信出力制御緊急実証事業)として、昨年6月から実施していた。

 太陽光発電の遠隔出力制御システムと、それに対応した遠隔出力機能付パワーコンディショナー(PCS)を開発して実証運用し、技術仕様を整理することなどを目指した。九電は、「今回の実証事業で確立した技術仕様に基づき、PCSメーカーなどの関係団体と協調して、出力制御機能付きPCSの早期市販化に向けた取り組みを実施する」としている。

 実証事業の具体的なテーマは、以下の3点だった。

 (1)専用回線による双方向出力制御方式と、単方向通信(インターネット)による出力制御スケジュール方式という2タイプの遠隔出力制御システムを開発し、実用化する。前者は66kV以上に接続する発電所、後者は66kV未満の発電所が対象。66kV以上のPCSシステムでは、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、日立製作所、キューヘンの3社が参加した。

 (2)多数の発電事業者に対して効率的に出力を制御するため、発電事業者を代行して出力制御を行う「配信事業者システム」を開発する。

 (3)電力安定供給のために、外部からのサイバー攻撃(不正侵入、不正操作など)に対する情報セキュリティを確保し、信頼性の高いシステムを開発する。

 このうち(1)について、動作検証試験を実施し、技術仕様を整理した。(2)についても基本仕様を整理した。また、(3)については、「既知の脆弱性がないことを確認した」としている。

 同社では、今後も、年間を通じて検証を継続し、出力制御の実施状況を確認できない66kV未満の発電事業者の制御状況を確認できるシステムの構築などに取り組むという。