経済産業省・資源エネルギー庁は5月15日、環境審査顧問会・風力部会を開催し、トヨタ自動車が愛知県田原市の「トヨタ自動車田原工場」敷地内で計画している風力発電事業の環境影響評価準備書について審議した。

 同部会に出席したトヨタ自動車の説明によると、1基の定格出力4.3MWの大型風力発電設備を工場敷地内に6基設置し、総出力は25.8MWに達する。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を使わず、工場内で自家消費する。2019年8月に造成・基礎工事を開始し、2020年7月に試運転、2021年3月に操業を開始する計画という。

 同社は2015年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表し、その中で、「工場CO2 ゼロチャレンジ」を掲げ、2050年にグローバルでの工場からのCO2排出ゼロを目指している。具体的には、(1)低CO2生産技術の開発・導入と日常のカイゼンによる徹底したCO2削減、(2)再生可能エネルギーと水素エネルギーの活用、を掲げていた。

「工場CO2 ゼロチャレンジ」のイメージ
「工場CO2 ゼロチャレンジ」のイメージ
(出所:トヨタ自動車「環境影響評価準備書のあらまし」)
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 田原工場の大型風力発電設備は、こうした取り組みの一環で、自社の生産用エネルギーとして活用するという。

 採用する風車は、ブレード(羽根)のローター径(回転直径)120m、地上からブレード最高部までの高さは145mに達する。同社は、環境影響評価方法書の段階では、2.1MW機を12基設置するパターンなど、5案を提示していたが、大型機で基数の少ない案を採用することで、既存設備や住居との離隔を大きくとってより安全性に配慮するとともに、南側エリアへの設置基数を減らして、鳥類にも配慮したとしている。

 トヨタ自動車田原工場の周辺は、全国有数の風況に恵まれ、既存の風力発電設備が20基稼働している。そのなかには、三井化学などが建設した50MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)と6MWの風力発電設備(1基2MW・3基)で構成する国内最大のハイブリッド型発電所の風車も含まれる(関連記事:4社のパネルを設置したハイブリッド発電所の4年間)。