AIを用いた統合プラットフォームへ

 その第1弾となるのが今回、共同事業開発契約を結んだ介護施設向けのベッドセンサーシステム。ベッドの4本の脚の下に高精度荷重センサーを取り付け、ベッド上の高齢者の体重や体動、呼吸状態などの生体情報を、非侵襲・非接触で測定する。呼吸状態は、内臓のうち最も重い臓器である肝臓の動きを捉えることで測るという。これらの情報を、介護事業者向けなどの転倒・転落防止アラートや生体情報提供サービスに活用する。

ベッドセンサーシステムの動作デモの様子
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ベッドの4本の脚の下に高精度荷重センサー
ベッドの4本の脚の下に高精度荷重センサー
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 既に20カ所以上の介護施設で先行導入が始まっており、2017年秋をめどに発売する。2020年度に30億円の売り上げを目指す。

 ミネベアミツミとリコーは、このベッドセンサーシステムを起点に「これからのヘルスケアプラットフォームを築いていく」(貝沼氏)構想を持つ。すなわち共同開発の第2弾では、医療分野への展開を視野に、心拍などの生体情報を取り込むとともに「AI(人工知能)を用いて、危険の兆候を事前にアラートするようなシステムを実現する」(同氏)。ここに向けて、ベッドセンサーシステムで取得できる情報から、心拍を算出する手法などを開発中という。

 第3弾では、血糖値や血圧などの生体情報、さらには温度・気圧などの環境情報、位置情報などを統合的に活用した「統合型情報サービスプラットフォーム」を構築する。ミネベアミツミの貝沼氏は同プラットフォームで「世界中でかなりの潜在需要がある(介護・医療)市場を開拓したい」と意気込む。リコーの山下氏も「人の命に関係する情報サービスでは、顧客サービスの信頼度を相当に高める必要がある。リソースをここにきちんと振り向け(介護・医療に)貢献したい」と話した。

介護・医療市場を3段階で攻める
介護・医療市場を3段階で攻める
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