“イメージングで病理診断”

 ナノマシン造影剤は具体的には、MRI造影効果を持つマンガン造影剤をリン酸カルシウムナノ粒子に搭載したもの。リン酸カルシウムナノ粒子は生体に対し安全で、腫瘍内の低pH環境に応答して溶解する。

 造影剤を内包する内核が高分子材料の外殻で覆われた構造をしており、血流中の環境(pH7.4)では安定に存在。腫瘍内の低pH環境(PH6.5~6.7)において、pHに応じてマンガン造影剤を放出する。ナノ粒子から放出されたマンガン造影剤は、腫瘍のたんぱく質と結合し、MRI信号強度を約7倍に増幅するという。マウスを使った検証では、大腸から肝臓に転移した直径1.5mmの微小腫瘍を今回の手法で高感度に検出できた。

 ナノマシン造影剤は、臨床で広く利用されている生体検査と比べて低侵襲。体内のあらゆる臓器・組織に適用できる“イメージングによる病理診断技術”としての実用化が期待されるとしている。