ヘルテン市で行われたオープニングセレモニーの様子
ヘルテン市で行われたオープニングセレモニーの様子
(出所:旭化成)
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 旭化成の欧州統括会社である独Asahi Kasei Europe(AKEU)は4月27日、風力発電を模擬した電源を使い、アルカリ水から水素を生成する「グリーン水素」の実証プロジェクトをドイツで開始した。

 ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州ヘルテン市にある水素関連技術の開発拠点「h2herten」で実施する。

 旭化成は、世界26カ国126カ所の生産拠点で使用される食塩電解システムのメインサプライヤーであり、同技術をベースに再生可能エネルギーなどの変動電源に適合したアルカリ水電解システムを開発した。同システムは10MWまで大型化が可能で、単一装置で大量の水素を生産できる。

 大規模な水素製造プロジェクトの第2弾となる。この実証事業では、再生可能エネルギー由来の電力を使用して水素を製造する。

 NRW州経済振興公社NRW.INVESTの協力のもとh2hertenと共同で実施する。なお、第1弾では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術開発支援のもと横浜市で10MW級アルカリ水電解システムを想定した長期間の水素製造に成功している。

 AKEUは、2017年11月14日に欧州の国際的な31の研究機関・企業のパートナーシップによるCO2回収・利用・貯蔵プロジェクト「ALIGN-CCUSプロジェクト」への参加を発表した。同社のアルカリ水電解システムは、CO2を再利用する手法の1つであり、CO2排出量を削減できるとしている。

 水素は近年、エネルギー貯蔵の分野だけでなく自動車の代替燃料としても注目されている。欧州、特にドイツでは、2022年までに原子力エネルギーを廃絶するとともに、変動性再エネ電力の大量導入やCO2削減に対する意欲的な目標を掲げており、信頼性の高い蓄電技術が強く求められているという。