大阪市立大学は4月25日、濃緑色単細胞微細藻類の一種であるスピルリナの酸素発生型光合成機能に着目し、可視光照射で発電すると同時にCO2を還元してギ酸を生成するプロセスを見出したと発表した。
太陽光で水素を生成して作動(発電)するため、「バイオ燃料電池」であると同時に「太陽電池」とも言える。また、太陽光によりCO2を有機分子(ギ酸)へ分子変換できるという点で、バイオ燃料(エネルギー)の製造装置にもなる。
今回開発した装置は、藻類の機能をデバイス化したもので、具体的には、CO2を含む溶液中で、スピルリナ由来の光合成膜を固定した電極と、ギ酸脱水素酵素を固定した電極を連結した構造となる。可視光を光合成膜固定電極に照射すると、回路に一定の電気が流れ、ギ酸脱水素固定電極ではCO2が還元されてギ酸が生成されることを見出した。
可視光を3時間照射した実験では、55μAの電流を計測した。また、ギ酸が生成し酸素が発生すると同時に、CO2由来の炭酸水素イオンが減少することが観測された。ギ酸は、水素を貯蔵するエネルギー媒体になるほか、有機薬品の合成材料や無機・有機化合物用溶剤にも利用できる。
今回の成果は、CO2を「排出ではなく、利用・削減」しながら、電気とバイオ燃料(水素媒体)というエネルギーを創出する「バイオ燃料の創製機能を持つ太陽電池」への展開が期待される。同日付の化学誌「New Journal of Chemistry」にオンライン掲載された。