嵐山町の調整池を活用した出力1.15MW
嵐山町の調整池を活用した出力1.15MW
FITを活用して売電している(出所:日経BP)
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水上メガソーラーの年間発電量は約134万kWhを見込む
水上メガソーラーの年間発電量は約134万kWhを見込む
調整池の水上メガソーラー(出所:日経BP)
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嵐山町の本社工場隣の農業用ため池を活用した出力約318kW
嵐山町の本社工場隣の農業用ため池を活用した出力約318kW
ソルダーレジスト工場で自家消費している(出所:太陽ホールディングス)
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本社工場に年間約33.3万kWhの送電を見込む
本社工場に年間約33.3万kWhの送電を見込む
工場隣のため池の水上太陽光発電所(出所:日経BP)
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 太陽ホールディングスは5月9日、同社グループの事業会社である太陽インキ製造(埼玉県嵐山町)が、米アップル向けの生産を「100%再生可能エネルギー」で賄うことを約束したと発表した。

 アップルは4月に、同社の製造パートナー企業9社が、新たにアップル向け生産の「100%再エネ」を約束したと発表している(関連ニュース)。そのうちの1社が太陽インキ製造となる。

 太陽インキ製造は、プリント基板で使われる絶縁材である「ソルダーレジスト」の世界最大手。

 直接の顧客は、プリント基板メーカーなどになる。プリント基板は電子機器に組み込まれるため、アップルなどの電子機器メーカーは、その先の顧客となる。

 こうしたサプライチェーンでは、プリント基板の大手であるイビデンが、2017年の時点で、アップル向け生産の「100%再エネ」の達成を公約していた(「アップル向け製造を100%再エネ」で脚光を浴びるイビデンに聞く)。

 今回、太陽インキ製造も公約したことで、さらに川上の材料まで、アップルの望む「100%再エネ」が進むことになる。

 電子部品・材料メーカーにとって、今後、納入製品やサービスの品質、信頼性、価格などが拮抗している場合には、自社グループの事業活動における「再エネ比率」が採否に影響する可能性が出てきたと言えそうだ。

 太陽ホールディングスによると、太陽インキ製造によるアップル向け製品生産の「100%再エネ」は、グループで運営している水上太陽光発電所の発電量が、製品製造に必要な電力需要を上回ることで実現する。

 水上太陽光発電所は、太陽インキ製造の本社工場がある埼玉県嵐山町の2カ所にあり、太陽ホールディングス傘下の太陽グリーンエナジー(嵐山町)が運営している(嵐山町に稼働した「自家用の水上太陽光」、アップル「再エネ100%」も追い風)。

 まず、2015年10月に、太陽光パネル容量が約1.153MW、連系出力が1MWの水上型のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働した。近隣の工業団地に隣接している調整池の水面を活用したもので、固定価格買取制度(FIT)を活用し、東京電力グループに売電している。

 次に、2017年12月に、太陽インキ製造の本社工場の隣にある農業用ため池に、太陽光パネル容量が約318kW、パワーコンディショナー(PCS)出力が300kWの水上太陽光発電所が稼働した。こちらは、FITを活用せず、隣に建つ太陽インキ製造の本社工場で自家消費しており、同工場の年間消費電力の約5%を賄っている。