「日印エネルギー転換協力プラン」に合意し、共同声明に署名
「日印エネルギー転換協力プラン」に合意し、共同声明に署名
(出所:経済産業省)
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日印産業・エネルギー・セミナーを開催した
日印産業・エネルギー・セミナーを開催した
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 世耕弘成経済産業大臣は5月1日、インド・デリーで開催された「第9回日印エネルギー対話」の会合に出席した。インドのラージ・クマール・シン電力・新・再生可能エネルギー大臣との間で、インドのエネルギー転換・脱炭素化を促進する「日印エネルギー転換協力プラン」に合意し、同プランの内容を含む共同声明に署名した。

 第9回日印エネルギー対話では、両大臣は日本とインドは世界で3番目と7番目の経済大国としてクリーンで経済的なエネルギーへのアクセスが不可欠であることを確認。さらに両国間でエネルギー開発に関して協力することが、世界のエネルギー安全保障やエネルギーアクセス、気候変動問題にも貢献するとした。

 このほかにも、パリ協定の実行を視野に入れた新しいエネルギー転換に向けて、脱炭素化を実現するための鍵のひとつとして水素を含む次世代技術の開発および普及の重要性を確認した。また、再生可能エネルギーの急速な普及や大規模な電気自動車(EV)導入に伴い、電力システムへの統合や系統対策が重要になるとした。 具体的には、可変速揚水の導入や蓄電池を利用した系統安定化に向けた技術協力をなどを掲げた。

 その一方で、両国のエネルギーミックスにおいて石炭をベースとした火力発電が引き続き重要であり、高効率かつ低排出の技術や大気の品質管理を含む石炭利用技術(CCT)などでも関係性を強化するとしている。また、2017年10月の覚書署名に基づき、透明性があり多様な液化天然ガス(LNG)市場の構築を確認した。

 両大臣は、2017年に立ち上げた日印クリーンエネルギー・省エネルギー協力プランを高く評価するとともに、二国間の協力を統合し協力プランを発展させるために「日印エネルギー転換協力プラン」を立ち上げた。

 同プランでは、以下のテーマを掲げた。変動性再エネと電気自動車(EV)の電力システムへの統合に向けたロードマップの策定、EV普及のための議論、石炭火力の環境対策で協力推進、太陽光を活用したマイクログリッドシステムなどの実証プロジェクトの進展と普及、インド産業界における省エネガイドラインおよびエネルギー管理マニュアルの開発と適用に向けた取り組みーーなどをまとめた。また、石炭や石油、天然ガスに関する取り組みや、水素活用に関する情報交換なども定めた。

 世耕経済産業大臣は、4月28日から5月5日の日程でロシア連邦(モスクワ、ヤマル)、インド(ベンガルール、デリー)、南アフリカ共和国(ヨハネスブルグ)を歴訪した。

 インドでは、すでに民間ベースで、ソフトバンクグループが大規模な太陽光を建設しているほか、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が太陽光発電向けのパワーコンディショナー(PCS)工場を建設し、市場開拓を本格化している (関連記事1) (関連記事2)。