VRFBの仕組み
VRFBの仕組み
(出所:西松建設)
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今回開発した蓄電システムの外観
今回開発した蓄電システムの外観
(出所:西松建設)
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(出所:西松建設)
今回開発した蓄電システムの外観
今回開発した蓄電システムの内観
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小規模産業用太陽光発電の売電収益を向上させるための活用例
小規模産業用太陽光発電の売電収益を向上させるための活用例
(出所:西松建設)
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 西松建設は5月8日、太陽光発電など天候に左右される再生可能エネルギーの不安定性を解消するための蓄電システムを開発し、実証実験を開始したと発表した。LEシステム(福岡県久留米市)との共同開発で、長期間安定稼働するバナジウムレドックスフロー電池(VRFB:Vanadium Redox Flow Battery)を採用した。

 VRFBは、不燃性の電解液を用いて常温で運転するため発火や爆発の危険性がない、耐熱対策などの必要がないため電池本体の寿命が長く約20年の電池設計が可能という。電解液が半永久的に使用でき、充電回数が無制限、電解液量で蓄電容量が決まるためタンクの増設などで容易に容量を拡張できるなどの特徴がある。

 今回開発したシステムは、20フィートコンテナに蓄電容量3kWhのVRFBを搭載した。制御部や電池セル部など蓄電池に必要な機能をひとつのコンテナに集約することで移動・設置を容易にした。実証実験では、同社の技術研究所にある既設の太陽光発電と連系し、負荷をかけながら約1年間にわたって充放電を繰り返して性能評価を行う。

 評価項目は、VRFBの運転制御の確認、負荷変動によるVRFBの過電流耐量の特性確認、太陽光発電の変動する発電量に対する変動調整にかかる運転制御の確認、VRFBの各種効率の確認――などを予定する。同社は今後、変動性再エネの電力需給に応じた蓄電システムを確立し、地域分散型エネルギーシステムの構築を目指す。

 レドックスフロー電池については、北海道電力が南早来変電所に実証事業で導入している。これも太陽光・風力発電の出力変動を平準化させるのが、主な目的となっている。北電のシステムは、住友電気工業製で出力15MW、容量60MWhに達し、レドックスフロー電池の運用例としては、世界最大級となる(関連記事)。