治療アプリ「NASH App」の画面イメージ
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 デジタルヘルスベンチャーのキュア・アップは、NASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)専用の治療アプリ「NASH App」に関し、多施設での臨床試験を開始すると発表した。NASH Appは、同社が東京大学医学部附属病院 消化器内科 小池和彦教授・佐藤雅哉助教らのグループと共同で開発し、2016年からフィージビリティ試験を実施している。今回の取り組みはその結果を受けて新たに開始するもので、臨床現場におけるエビデンス構築と製品改善を目的とする。

 NASHは肝硬変や肝がんに進行することが知られており、将来的にNASHを基盤とした肝がんの増加が懸念されている。肥満を背景に発症するNASHは国内に200万人程度(予備軍は推定1000万人程度)存在すると考えられているが、現状では確立された治療法がなく、個々の施設の取り組みにとどまっている。また、外来受診時の限られた時間で患者に適切な行動療法を行うことが困難なことから、患者自身の治療継続も課題となっている。

 NASH Appは、個々の患者に最適化した診療ガイダンスを外来受診時以外もアプリが継続的に行い、患者と医療従事者双方の負担を著しく増やすことなく効果を得ることで、有望な治療法とすることを目指したアプリ。患者の認知と行動改善を通じた減量による治療が達成されれば、NASHによる肝硬変や肝がんだけでなく、肥満がリスクとなる他の疾患予防にもつながることから、日本の医療費削減への貢献も期待される。