三菱自動車社長兼COOの相川哲郎氏
三菱自動車社長兼COOの相川哲郎氏
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 決算どころではない窮地だ。軽自動車の燃費試験の不正問題に揺れる三菱自動車は2016年4月27日、2016年3月期の連結決算を発表した。会見の冒頭で三菱自動車社長兼COO(最高執行責任者)の相川哲郎氏ら幹部は深々と頭を下げ、燃費不正の問題を起こしたことを詫びた。

 同社の2016年3月期の連結決算自体は悪くないものだった。売上高は2015年3月期比4%増の2兆2678億円、北米や西欧でスポーツ多目的車(SUV)の「アウトランダー」やプラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダー PHEV」の販売が増加。日本国内やロシア、中国の販売減少を補い、増収を確保した。

 営業利益は2%増の1384億円と過去最高を更新。収益性の高いSUVが販売に占める比率が53%にまで高まったことに加えて、資材費などのコスト低減効果が出た。ユーロやオーストラリアドル、ロシアルーブルを中心とする為替差損の合計172億円のマイナス影響を吸収して、増益となった。純利益は25%減の891億円。米国における生産終了に伴う特別損失191億円を計上したことが響いた。

 しかしながら2017年3月期については、燃費試験の不正が業績に与える影響が大きくなる可能性が高いため、業績予想は未定とした。国内販売に深刻な影響が出そうなことに加えて、同社製の軽自動車の購入者に対する補償などで多額の費用が発生しそうだからだ。

 「足元では4月20日に(燃費試験の不正を)発表した前と後での受注台数でみると半減している。海外は直接的な影響があるという情報は来ていないが、この先を推定するのは非常に難しい」と相川氏は説明した。