ベストミックスの想定を超える!?

 政府が2015年に策定した「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度における電源構成(ベストミックス)の中で太陽光の導入量を64GW(構成比7%)としていた。

 60GW以上の太陽光が新制度に移行すれば、すでにベストミックスの想定値を近い水準になり、2030年には64GWを超えることも容易になる。今後、ベストミックスにおける再エネ導入量の積み増し議論が高まることは必至だ。ただ、FIT初期の高い買取価格の案件が予想より失効しなかった場合、低い買取価格の案件への置き換えが少なく、賦課金の増大による国民負担の問題が再燃することもまた予想される。

 太陽光発電市場にとっては追い風になる。太陽光の稼働済みの案件は約38GWなので、今後、認定案件だけで25GW程度の太陽光の潜在的な建設需要が生まれる余地が出てきた。単純計算で4年間程度は、6G~7GW程度の新設が続くことになる。

 今回、経産省は、今年3月末時点での地域別の接続契約締結数も公開した。この数値と昨年6月末時点の認定数を比較した減少幅を見ると、九州エリアが最も減っている。同エリアでは、「無制限・無補償の出力抑制」を接続条件とされた案件が多かったことから、事業性への懸念から計画を断念した可能性もある。

 ただ、一方で、「太陽光の旧認定量(約80GW)のうち、20GW以上は無制限・無補償が条件になっている」との見方もあり、それが「新制度に移行する分が60WGに満たない」との根拠になっていたことを考えると、「無制限・無補償」案件のなかでも接続契約を締結して新制度に移行するプロジェクトが相当数、出てくることも考えられる。

■変更履歴
記事公開後、新認定制度への移行数を推定する上で、前提条件を変更したため、一部の推定数値を変更しました。本文は変更済みです。 [2017/4/26]