ホンダが開発したARCライン
ホンダが開発したARCライン。茶色の二つの円板で囲まれた部分の円板の中心から中心までが一つのセルユニット。
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 ホンダは、完成車組み立てを革新する新発想のライン「ARCライン」を開発し、2016年3月に稼働を開始したタイのプラチンブリ工場に導入した。作業者が多様な組み付け作業を実施するセル生産方式の概念を取り入れたラインで、一般的なセル生産方式との違いは、セルのユニットが特定の場所に固定されずに決まった軌道を循環するように流れていくことだ。

 ホンダが開発したARCラインは大まかには次のようなものだ。まず、作業に必要な部品を載せた台車や、部品の組み付け対象となるボディーが、作業開始地点手前のそれぞれ所定の場所で、セルの各ユニットに積まれる。その上で、作業者4人(車両の前部、後部、右サイド、左サイトの各組み付け担当者)が各ユニットに乗り込み、各作業者は流れていくユニット上で与えられた部品を組み付けていく。セルのユニットの軌道はU字形の基本形状を組み合わせた形に設計されており、所定の組み付け作業を終えるころには作業開始地点近く(U字の終点)に戻ってきている。ここで作業者はそのユニットから降り、作業開始地点に流れてくる作業開始前のユニットに乗り換える。

 所定の組み付け作業を終えたユニットには、検査担当者が乗り込み検査を行う。不良があれば、各ユニットに配したタブレットを使って情報を入力し、即座に組み付け作業者などに伝えて不良を造り続けないように注意を促す。検査を終え、続く組み付け作業がなければ、ボディーをユニットから降ろし、ボディーを次の工程へと送る。

 部品が空になった台車のみが載ったユニットは、部品の配膳場所に流れていく。ここで、空の台車は必要な部品がそろえられた台車に積み替えられ、ユニットは作業開始地点へと再び戻っていく。ボディーはその直前に積み込まれる。ボディーの積み降ろしには、空中リフターを使う。