再エネファンドの概念図 
再エネファンドの概念図 
(出所:環境省「再生可能エネルギーファンドの情報開示について」)
[画像のクリックで拡大表示]

 環境省は3月31日、「再生可能エネルギーファンドの情報開示について」と題した報告書を公開した。これは再エネファンドのリスクと、それに対応した情報開示の内容に関して検討し、まとめたもの。太陽光、陸上風力、バイオマス発電(木質系・湿潤系)について、開示項目などを例示的に示した。今回の検討内容は、再エネファンド事業者が、自主的に情報開示を行う場合に焦点を当てた。

 環境省は、2014年度に開催した「グリーン投資促進のための情報開示及び評価のあり方に関する検討会」で、リスク・リターン特性、グリーン特性、ファンドの仕組み・運営という3つの開示情報に関してまとめた。それを受け、2015年度では、「再生可能エネルギー事業の情報開示に係る検討会」(委員長:藤井良広・上智大学客員教授)において、再エネの技術類型の違いに配慮した開示情報などについて検討した。

 太陽光発電に関しては、想定されるリスクとして、用地確保、許認可、完工、災害・事故、近隣環境への影響、自然資源の調達、継続性、メンテナンス・補修、スキーム関係者のデフォルトの影響、発電設備の撤去――という10の観点を挙げ、それぞれについて、開示項目、開示の仕方などを具体的に例示した。

 例えば、「完工」では、開示項目として「EPC(設計・調達・施工)事業者およびメーカーの実績」「EPC事業者との契約内容」など、開示の仕方として「過去複数年の再エネ事業での実績を記載」「EPC事業者との契約内容に関する主な事項(契約種類、フルターンキー契約の有無、瑕疵担保条項の有無、責任範囲)」などと例示した。

 また、「メンテナンス・補修」では、開示項目として「メンテナンス計画」「O&M(運営・保守)事業者の経験・実績」など、開示の仕方として「計画の概要(体制、内容、頻度、方法、費用)について記載」「過去複数年のO&M事業者の実績を記載」などと例示した。

 環境省では、今回の開示情報に関する検討内容は、再エネファンドに留まらず、再エネ事業に関する他の金融商品についても、参考になるとしている。