日本薬剤師会は、異なる運営事業者が提供する電子お薬手帳サービスを連携し、相互に閲覧できる「電子お薬手帳相互閲覧サービス」を2016年4月1日に提供開始した。現在、6事業者が提供する電子お薬手帳8サービスが、日本薬剤師会の設置した「日薬リンク付けサーバー」に接続しており(接続予定を含む)、電子お薬手帳閲覧サービスを利用する薬局であれば、各事業者の電子お薬手帳の情報を一元的に閲覧・管理できる。

 電子お薬手帳サービスを提供する事業者はそれぞれが独自に加盟薬局を拡大しており、患者は自由な薬局選択に支障をきたし、薬局も加盟する事業者以外の電子お薬手帳サービスに対応できないといった問題があった。「国民目線で考えれば、ご自身が利用している電子お薬手帳を特定の薬局でしか使えないのでは困る」(日本薬剤師会広報・情報室)という考えから、2015年3月にリンク付けサーバーを構想、同年5月より構築を開始していた。

 また、厚生労働省も2015年11月に電子お薬手帳の運用ガイドラインとして公表した「お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について」で、複数の運営事業者が提供するお薬手帳サービスの情報を含め、提供薬局で一元的に情報閲覧できる仕組みの構築が必要とし、構築された場合にはその仕組みを活用することが望ましいと明記している。

将来構想を含む日薬リンク付けサーバーの概要(日本薬剤師会の資料から抜粋)
将来構想を含む日薬リンク付けサーバーの概要(日本薬剤師会の資料から抜粋)
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 日本薬剤師会ではリンク付けサーバーを、(1)患者が複数の運営事業者のサービスにデータを分散して保管している場合でも一元的に閲覧でき、(2)全国どの薬局でも患者のお薬手帳の情報を一元的に閲覧できる、(3)標準規格を利用した仕組みとすることにより、将来的に疾病管理手帳(かかりつけ連携手帳)や地域医療情報連携基盤などとの連携も可能、と位置付けている。

 リンク付けサーバーと接続するためのデータ形式・接続様式は、データ交換形式は保健医療福祉情報システム工業会の規格「JAHIS電子版お薬手帳データフォーマット仕様書Ver.2.0」(2015年12月公開)を採用、地域医療情報連携基盤との接続を行うためにIHE-ITI(IT Infrastructure)のテクニカルフレームを基本としている。