グリーンボンドの発行体別年間発行額
グリーンボンドの発行体別年間発行額
(出所:環境省)
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 環境省は3月31日、「グリーンボンド」の発行を促進し、グリーン投資を活発化させるための方策をまとめた報告書を公表した。これはグリーン投資促進のための市場創出・活性化検討会(委員長:藤井良広上智大学客員教授)による検討結果を踏まえたもの。

 「グリーンボンド」とは、再生可能エネルギー開発などグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券。近年、国際的に、企業や地方自治体によるグリーンボンドの発行・投資の動きが活発化しており、2015年には全世界で年間400億米ドルをこえる発行額となった。その45.8%が再エネで、19.6%が省エネとなっている。

 一方、日本ではグリーンボンドの発行・投資事例とも限られている状況という。報告書では、今後、長期的に温室効果ガスを大幅に削減していくため、日本でもグリーンボンドの発行・投資を推進していくべきとし、その方策を示している。

 グリーンボンドに必要な代表的な要件として、欧米の4銀行が共同で作成した「グリーンボンド原則(GBP)」を紹介している。報告書ではその要旨を以下の4点に集約した。(1)明確な環境改善効果があり、可能な限りその効果を定量的に測定できること。(2)プロジェクトが適切であることを担保するための意思決定プロセスが明確なこと。(3)調達資金がグリーンプロジェクトに投資されていることを証明できる内部プロセスの構築。(4)プロジェクトに関する情報をレポーティングすることーー。

 ただ、こうした要件を当初から厳格に達成することは難しい場合もあるとし、まず普及させることを優先して、以下の条件を加えて、グリーンボンドの条件を広めに解釈することを提案している。(1)調達資金の大半がグリーンプロジェクトに投資されていること。(2)グリーンプロジェクトに投資できない場合の投資対象の性質が明確になっており、かつその性質が環境を悪化させる効果を持たないこと。(3)グリーンプロジェクト以外に投資されている調達資金の割合を明らかにし、レポーティングすることーー。

 加えて、促進策の例として、グリーンボンドを発行する場合に公的機関が信用保証を付す制度や、グリーンボンドに係る税制優遇制度などを挙げた。また、今回の報告書を土台にガイドラインをまとめることも検討すべきとした。そうして、将来的に、日本が「アジアにおけるグリーン投資のハブ市場」となるビジョンを掲げた。