「福島モデル太陽電池」を主導するアンフィニの福島工場
「福島モデル太陽電池」を主導するアンフィニの福島工場
(出所:日経BP)
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 産業技術総合研究所(産総研)の福島再生可能エネルギー研究所(FREA)は4月1日、「被災地企業等再生可能エネルギー技術シーズ開発・事業化支援事業」について、2019年度はコンソーシアム型7件、個別企業型7件を採択したと発表した。

 同事業は、産業集積と復興への貢献を目的としたもので、東日本大震災の被災地域の企業から公募を基にしている。今年度は、「福島モデル太陽電池モジュールの開発」「再生可能エネルギー利用拡大に向けた水素・熱利用関連技術開発」などを採択した。

 FREAでは、2013年度から福島・宮城・岩手の被災地3県に所在する被災地企業に対してFREAのノウハウや研究設備などを活用した再生可能エネルギー関連技術シーズに対する技術支援を行ってきた。2018年度からは、被災地企業などを核としたコンソーシアムに対して被災地発の再エネ関連製品事業化に向けた技術開発を重点的に支援している。

 2019年度の主な採択テーマは、コンソーシアム型の太陽光発電分野では「福島モデル太陽電池モジュールの開発」(代表:アンフィニ、アサカ理研、カナメ、クニミネ工業、山王、さんのう)、畜エネルギー分野(水素・熱)では「再生可能エネルギー利用拡大に向けた水素・熱利用関連技術開発」(代表:北芝電機、IHI、アネスト岩田、アポロガス、亀山鉄工所、クレハ、山王、ジュークス、日本化学工業)が選ばれた(関連記事:「福島プライド」で世界を目指すアンフィニ)。

 また、両テーマに参画する山王は4月4日、福島モデル太陽電池モジュールには「銀めっきアクリル粒子」、水素・熱利用関連技術開発では「水素透過膜」の自社開発技術が採用されたことを発表した。銀めっきアクリル粒子は、ニッケルめっきを介さずアクリル樹脂に直接銀めっきを施す技術で、薄型太陽光パネルの配線材のほか大電流用部品の接合や消臭・殺菌など、さまざまな応用が考えられる。

 水素透過膜は、パラジウム銅(PdCu)合金を電解めっきでワンステップ成膜する技術を産総研と共同開発した。簡単で安価に成膜できるだけでなく、従来の典型的な成膜手法である圧延法で作成されたPdCu合金(圧延膜)と比べて伸びで1.7倍、破膜荷重で3倍と高強度の薄膜が作成できる。現在は実用化に取り組んでおり、2年後の単膜販売、3年後の装置販売を目指している。