国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は4月2日、世界全体の再生可能エネルギーによる発電設備の容量が2018年に171GW増加し、再エネの力強い成長トレンドが過去10年間継続したと発表した。それにより、世界の発電容量の3分の1が再エネ由来となったとしている。

 同機関が公開した調査報告書「再生可能容量統計(Renewable Capacity Statistics) 2019」のデータによるもの。年間の再エネ増加率は7.9%で、その大半の84%を太陽光と風力の発電所新設が占めるという(関連記事:「再エネの新設容量、2016年に161GW増加し記録更新」)。

 同報告書のデータによると、成長率はそれぞれ異なるものの世界の全地域で再エネが成長している。

 アジア地域は新設された全再エネ容量の61%を占めており、設置容量は11.4%増加した。一方、成長率が最も高かったはオセアニアで、2018年に再エネ容量が17.7%増加した。アジアに次いで3番目に成長率が高かったのが、アフリカの8.4%である。

 2018年に設置された全発電容量の3分の2近くが再エネ由来であり、新興国や発展途上国が需要をけん引しているという。

 IRENAのアドナン・アミン事務局長*1は、「事業性の面からも、再エネが新設電源として選択される時代となった。2018年の力強い成長は、過去5年間の特筆すべきトレンドが継続していることを示し、再エネが世界全体のエネルギー転換を現在もけん引しつつあることを反映するものだ」と述べている。

 同報告書では、再エネと非再エネの発電量の成長率も比較している()。非再エネは、主に化石燃料と原子力である。

図●再エネ電源の設備容量が2000年以降一貫して成長を続けている一方、非再エネ電源は成長していない
図●再エネ電源の設備容量が2000年以降一貫して成長を続けている一方、非再エネ電源は成長していない
(出所:IRENA)
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 非再エネの発電設備容量が欧州、北米、オセアニアでは2010年以降で約85GW減少している一方、同期間にアジアと中東では増加したという。2000年以降、非再エネ容量は毎年約115GW(平均)ずつ増加しているが、傾向としては増加と減少のいずれでもないとしている。

 太陽光発電に関しては、2018年に24%増となる94GWの容量が世界全体で増加した。そのうち、アジアが約70%となる64GWを占め、引き続き世界の成長をけん引している。国別では、中国、インド、日本、韓国がその大半を占める。

 アジア以外の地域で太陽光発電の設備容量が特に増加しているのは、米国(8.4GW増)、オーストラリア(3.8GW増)、ドイツ(3.6GW増)で、さらにこれらに続く地域としてブラジル、エジプト、パキスタン、メキシコ、トルコ、オランダを挙げている。

*1: IRENAの事務局長は2019年4月4日、8年間務めたアドナン・Z. アミン氏からフランセスコ・ラ・カメラ氏に交代した。