電力とエネルギーの永続地帯となった市町村の推移
電力とエネルギーの永続地帯となった市町村の推移
(出所:環境エネルギー政策研究所)
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 環境エネルギー政策研究所と千葉大学は3月30日、日本国内の市区町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを調査した「永続地帯 2017年度版 報告書」を公表した。

 それによると、域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村が前の年度に比べて11カ所増加し、82になった。

 「永続地帯(sustainable zone)」とは、その区域で得られる再生可能エネルギーと食料需給のすべてを賄うことができる区域のこと。環境エネルギー政策研究所と千葉大学は、2006年3月末のデータに基づき再エネ電力を集計した最初のレポートを2007年に公表して以来、継続的に永続地帯の研究を行っている。

 今回発表したレポートは2017年3月末時点で稼働している再エネ設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を試算した。

 その結果、136市町村が、域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再エネ電力を生み出す「電力永続地帯」。82市町村が民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再エネを生み出す「エネルギー永続地域」であることがわかった。

 「電力永続地帯」は、前の年度に比べて21カ所増加、「エネルギー永続地帯」は同比で11カ所増加した。また、82市町村のエネルギー永続地帯のうち42市町村が食料自給率も100%を超える「永続地帯」であることがわかった。

 また、日本全体の民生・農水用エネルギー自給率は、2017年3月時点で10.54%と初めて1割を超えた。民生・農水用エネルギー需要の1割以上を計算上、再エネで供給している都道府県は33県に達した。

 再エネごとの前の年度と比べた伸び率では、太陽光発電19.1%、風力発電11.9%、バイオマス発電11.9%であるのに対し、小水力発電は1.6%増、再エネ熱供給は0.6%と微増に留まった。太陽光の伸び率は大きいものの、2014年度(60.0%増)、2015年度(37.9%増)と比べると伸び率は鈍化した。