サウジアラビアのMohammed bin Salman bin Abdulaziz皇太子兼Public Investment Fund(PIF)会長とソフトバンクの孫正義代表取締役会長は3月27日、サウジアラビアにGWクラスの大規模太陽光発電所である「ギガソーラー」を建設するプロジェクト「Solar Power Project 2030」を共同で推進することで合意、覚書に署名した。(図1)(図2

図1●覚書に署名するサウジアラビアのMohammed bin Salman bin Abdulaziz皇太子(右)とソフトバンクの孫正義代表取締役会長
図1●覚書に署名するサウジアラビアのMohammed bin Salman bin Abdulaziz皇太子(右)とソフトバンクの孫正義代表取締役会長
(出所:Saudi Press Agency)
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図2●署名の式典で握手を交わすサウジアラビアのMohammed bin Salman bin Abdulaziz皇太子(右)とソフトバンクの孫正義代表取締役会長
図2●署名の式典で握手を交わすサウジアラビアのMohammed bin Salman bin Abdulaziz皇太子(右)とソフトバンクの孫正義代表取締役会長
(出所:Saudi Press Agency)
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 同プロジェクトは、太陽光発電の分野で世界最大になるとしている。今回の合意に基づき、太陽光発電事業を行う合弁会社を設立する計画。

 同合弁会社は、設備容量が3GWと4.2GWの2件のギガソーラーを2019年までに建設、稼働させる。さらに、2030年までに150GWと200GWのギガソーラーの建設も目指しており合計350GWの規模となる見込み。さらに、同国内で太陽光パネルの開発や製造を行うとしている。

 両者は昨年10月、持続可能な成長を目指しつつグローバル規模で同国が「投資ハブ」になることを目的とする「Future Investment Initiative」においても合意、署名しており、今回の合意はそれを補完するものとなる。

 今回の合意には、フィージビリティ(実現可能性)調査を2018年5月までに完了すること、太陽エネルギー貯蔵システムの開発や製造を検討すること、同国内外での市場開拓を前提として量産規模で太陽光パネルの研究開発に取り組む専門会社を設立すること、などの項目も含まれているという。

 サウジアラビアとしては、原油を節約することによる世界の石油市場での同国の役割の強化や、発電システム分野の産業を育成するための調査に加え、再生可能エネルギーやエネルギーストレージといった先端技術領域における産業分野の多様化や雇用の創出などが今回の合意の狙いとみられる。

 さらに同国は、今回合意したプロジェクトにより、サウジアラビア国内で10万人分の雇用創出や、国内総生産(GDP)の拡大に寄与すると見込む。

 ソフトバンクグループは東日本大震災後の2011年以降、固定価格買取制度の施行と同時に日本国内で多くのメガソーラーを建設してきた(図3)(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。

図3●ソフトバンクグループのSBエナジーが建設した出力1.2MWのメガソーラー「ソフトバンク長野佐久ソーラーパーク」
図3●ソフトバンクグループのSBエナジーが建設した出力1.2MWのメガソーラー「ソフトバンク長野佐久ソーラーパーク」
(出所:SBエナジー)
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 国内では最近、買取価格が低下してきたこと、メガソーラーに適した用地の取得が困難になってきたことなどから、大規模なプロジェクト案件が数多く見込めるインドや中東などの新興国市場に再エネ開発事業の主軸を移しつつあるようだ(関連記事4)(関連記事5)。