Moixa社のビジネスモデル
Moixa社のビジネスモデル
(出所:東京電力ホールディングングス)
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Moixa社の蓄電池のイメージ
Moixa社の蓄電池のイメージ
(出所:東京電力ホールディングングス)
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 東京電力ホールディングスは4月4日、一般家庭の蓄電池をアグリゲート(集約)して充放電することで経済メリットを得る英国のベンチャー企業Moixa(モイクサ)社へ3月31日付で出資したと発表した。出資額は50万ポンド(約7000万円)、出資比率は約3%となる。

 Moixa社は、英国の住宅に適したコンパクトで安価な蓄電池を設置・販売・リースする事業を展開する。自社開発のソフトウエアやプラットフォームを活用し、複数の家庭に設置された蓄電池を遠隔制御で充放電する。それにより蓄電池の余剰電力をアグリゲートして事業者に売電することで、電気料金を節約するとともに売電の対価を顧客に還元する。

 サービスを受ける事業者の経済メリットは、需要家の場合、時間帯別料金による差額を利用して電気料金を下げたり、系統運用者などの場合、周波数を安定化させるための調整力としての活用などが考えられる。

 例えば、設置費用約2100ポンド(約30万円)で容量2kWhの蓄電池を設置することで、年間約210ポンド(約3万円)の電気料金の節減効果があり、10年間で初期費用を回収できるケースもあるという。今後のコストダウン効果を見込めば、回収期間はさらに短縮できる可能性もある。

 東京電力HDは、Moixa社への出資を通じてノウハウを獲得し、国内の一般家庭向けに蓄電池アグリゲ―ション事業を検討する。国内では、家庭用太陽光発電の電力買取価格が低下傾向にあり、今後、蓄電池の価格が低下すれば太陽光発電の有効な活用方策として蓄電池が普及すると考えられる。同時に、蓄電池の充放電により電力系統へ調整力を提供するアンシラリー事業の発展も期待される。