SiO<sub>2</sub>を使った太陽電池への取り組みで、日本のベンチャー企業向けの賞を受賞
SiO2を使った太陽電池への取り組みで、日本のベンチャー企業向けの賞を受賞
(出所:中小企業基盤整備機構)
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 伊藤忠商事は4月4日、人工水晶を使った太陽電池ベンチャーである、inQs(東京都港区)に出資すると発表した。三菱UFJ信託銀行とともに、第三者割当増資を引き受ける。

 これにより、伊藤忠商事は、親会社である国際先端技術総合研究所(東京都港区)に次ぐ、inQsの第二位の株主となる。

 inQsは、人工水晶(SiO2)を使って太陽電池を形成し、無色透明型、極低照度発電式という2種の太陽電池の開発、製造を世界で初めて実現したという。

 無色透明型は、ガラスのような外観のため、ビルや工場、住宅などの窓ガラスの代わりに使い、太陽光で発電する窓として活用できる。エネルギーの自給自足を目指す施設や住宅の窓や壁、天井のほか、自動車への採用が検討されているとしている。

 極低照度発電式は、暗い室内においても発電が可能な特徴を生かし、将来は外部の電源を使った充電や蓄電池の搭載を不要にできる機器を実現できるとする。すでに複数の大手企業と採用に向けて商談中という。

 スマートフォンやリモコンなどの機器のほか、センサーネットワークを構成する無線センサー端末への応用も有望としている。センサー端末に実装することで、外部の電源が不要な独立型の端末として活用できるようになる。

 inQsは2016年2月、中小企業基盤整備機構が顕彰する日本のベンチャー表彰制度、Japan Venture Awardの技術イノベート特別賞を受賞している。今後、伊藤忠商事は、inQsの製品の国内外向けの販売だけでなく、全体戦略の立案・実行に関わっていく。