総務省は3月30日、「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」の勧告に対する改善措置の状況について発表した。同省は、2017年9月に環境省と経済産業省(経産省)に対し、太陽光設備の不適切な廃棄処分などに関して改善を勧告し、今回、両省から回答を受けた。

 回答によると、環境省は、都道府県に対して、使用済みパネルの感電リスクなどに関して関係者に注意喚起するよう促すとともに、太陽光パネルの含有成分に関する情報公開や、リユース・リサイクル・適正処理に関する法整備も検討すると表明した。

 総務省は、全国に大量に設置された太陽光パネルが、将来、寿命を迎えたり発電所を撤去するといった理由で大量に廃棄されることを見込んで調査していた。

 現状で、まとまった量の太陽光パネルが廃棄されているのは、大雨や台風、大地震などによって被災した場合がほとんどとなっている。

 総務省が、被災した太陽光パネルの処理状況を調査したところ、適切に処理されていない例が見つかった(関連コラム:太陽光パネルの廃棄で不適切な例、総務省が改善を勧告太陽光パネルメーカーが開示を拒む例も、廃棄の適正化へ総務省が勧告)。こうした調査結果を受けて、環境省と経産省に勧告した。

 今回の発表は、この勧告に対する、1回目のフォローアップとなる。その内容は、主に二つある。一つ目は、災害によって損壊した太陽光パネルへの対処である。

 太陽光パネルは、損壊したり水没した後も、人が不用意に触った場合、感電する恐れがある。また、含有する有害物質が流出する恐れもある。

 被災した太陽光パネルに関する廃棄に関しては、廃棄物処理法やガイドラインなどが定められている。しかし、調査では、「感電などの危険性について、一部を除き、地方公共団体・事業者とも十分な認識がなく、地域住民への注意喚起も実施されていなかった」実態が明らかになった。

 災害の発生時に、6カ所の市町村では、感電の危険性・有害物質の流出の危険性のいずれも認識しておらず、地域住民に注意を喚起しなかった。損壊パネルを排出した3者の排出事業者も、危険性の認識に差があり、いずれも地域住民に注意を喚起していなかった。

 損壊現場における感電などの防止措置も、一部を除き、十分かつ迅速には実施されていなかった。産業廃棄物として処理された例では、現場で感電などの防止措置が講じられないまま、最長で3か月存置されていた例が3件あった。

 この存置されていたパネルのうち、その後の溶出試験の結果、基準を上回る有害物質(セレン)が検出された例も報告された。

台風による水害で被災した化合物型太陽光パネル
台風による水害で被災した化合物型太陽光パネル
茨城県常総市の鬼怒川沿いの太陽光発電所の例(出所:日経BP)
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 「災害廃棄物」として処理された中には、仮置場への搬入後は感電などの防止措置が講じられていた例もある。しかし、搬入されたのは災害発生から最長9カ月後だった。

 こうした状況を踏まえ、環境省に対して、「廃棄物処理される損壊パネルについて、地域住民などへの被害の未然防止を図る観点から、経産省と連携して、地方公共団体・事業者に対し、損壊パネルによる感電や有害物質の流出の危険性、地域住民などへの注意喚起や感電などの防止措置の確実な実施について、周知を徹底する必要がある」と勧告した。

 この勧告に対して、環境省は今回、三つの施策による対応を示した。