実証研究のイメージ
実証研究のイメージ
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 日本医科大学武蔵小杉病院と富士通エフサスは、退院患者の自宅療養を支援するため、同社のコールセンターから定期的に日常生活や症状の確認コールを行う実証研究を開始する。実施期間は2016年4月1日から同年9月30日まで。

 実証研究の目的は次の通り。すなわち、(1)入退院を繰り返す患者、独居の高齢者、老老介護の患者が、コールセンターを通した医師のアドバイスにより、安心して自宅で療養生活を送ることができるようにする、(2)異常の早期発見を行い、重症化する前に速やかに受診を促す、(3)患者の治療経過、退院後の生活などの情報収集・蓄積を行い、医療機関と共有することにより再度の来院・入院時の治療に活用すること、である。

 対象とする患者は、以下のいずれかに該当し、実証研究への参加を希望する人。参加費用は無料である。

・退院調整・退院支援を行っている独居高齢者・老老介護の患者
・入退院を繰り返している患者
・地域連携支援・継続支援が必要と判断される患者・家族

 実証研究では、医師の指示により、定期的にコールセンターから、通院、服薬、食事・水分摂取、睡眠、発熱、排便など日常生活・症状の確認を行う。この電話によるヒアリング結果と、ヒアリング開始前の患者情報を患者状況共有システムに蓄積して活用する。実施にあたっては、患者の退院前説明に、富士通エフサスのコールセンター要員も病院に出向き、事前に直接対面することで、患者との信頼関係構築を図っていくという。

 このスキームの有効性が実証されると、スムーズな自宅療養移行による入院期間の短縮、重症化してからの緊急・再入院の抑止が可能になり、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることを目指す「地域包括ケアシステム」の実現にも寄与することになるとしている。