米Synopsys社は、アナログ/ミックストシグナル/カスタムIC設計用EDAシステム「Custom Compiler」を発売した(日本語ニュースリリース1)。新製品を使うことで、FinFETプロセスの先端ICを含めて、カスタム設計の各タスクの期間を数日単位から数時間単位に短縮できるという。

図1●設計者とツールが協調して、効率化を図る Synopsysのスライド。
図1●設計者とツールが協調して、効率化を図る Synopsysのスライド。
[画像のクリックで拡大表示]
図2●4種のVisual Assistants機能がある Synopsysのスライド。
図2●4種のVisual Assistants機能がある Synopsysのスライド。
[画像のクリックで拡大表示]

 EDA業界で売上高1位のSynopsysだが、アナログ/ミックストシグナル/カスタムIC設計用EDAでは競合の米Cadence Design Systemsの牙城を崩せていない。過去に何回か、その牙城を崩すことを狙った製品を市場投入したが、城の守りは固かった。今回の新製品で、再度、牙城崩しに挑む。

 新製品は、同社の既存アナログ/ミックストシグナル/カスタムIC設計用EDAシステム「Custom Designer」(日経テクノロジーオンライン関連記事1)を大幅強化したものだという。強化に貢献したのが、2012年に買収した台湾SpringSoft社(同関連記事2)のアナログ/ミックストシグナル/カスタムIC設計用EDA「Laker」(同関連記事3)だとする。Lakerの強みをCustom Compilerに取り込んだことで、対話設計機能が大きく向上したという。

 SynopsysはCustom Compilerの対話設計機能を「Visual Assistants」と呼ぶ(図1)。グラフィカルな画面を通して、設計者がツールに有効な指示を与え、「ツール+設計者のノウハウ」によって、設計全体の効率化を図る。以前から、アナログ/ミックストシグナル/カスタムIC設計では完全自動化は難しいと言われており、新製品ではツールと設計者が協調する半自動設計が効率良く行えることを狙った。

 新製品のCustom Compilerに含まれるVisual Assistants機能は全部で4種類(図2)。「Layout Assistants」、「Template Assistants」、「Co-Design Assistants」、「In-Design Assistants」である。