種子島にける2016年2月21日の需給見通し
種子島にける2016年2月21日の需給見通し
 (出所:電力広域的運営推進機関)
[画像のクリックで拡大表示]
2月21日13時の需給見通しと抑制必要量 
2月21日13時の需給見通しと抑制必要量 
(出所:電力広域的運営推進機関)
[画像のクリックで拡大表示]

 電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)は3月24日、九州電力による再生可能エネルギー発電設備の出力抑制に関する検証結果と、実際の需給実績を公表した。検証対象となったのは、2016年2月21日、日曜日の9~16時に鹿児島県種子島にある出力1MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に対して実施した出力抑制。

 広域機関は、今回の出力抑制を「適切である」とした。

 また、公表された当日の需給実績は、想定よりも需要が小さく、太陽光出力は大きかった。このため、ディーゼル発電機の運用が、一般的に「下げ代」の限界とされる最低負荷率50%を下回った。「下げ代」とは、再エネの出力増加(または、需要の低下)に応じて、出力を下げられる範囲。「最低負荷率」とは、内燃発電機を定格運転より低い負荷で運転できる限界の出力割合で、それ以下の出力での運転は不安定になるとされる。

 九電は、2016年2月21日13時の需要を、16.4MWと想定し、供給予備力を10%として、必要供給力を18.04MWに設定した。また、太陽光の出力予測については、前日10時の日射量予測などから最大7.84MWとし、天気急変時に1.348MWまで低下すると想定した。

 こうした需給想定を前提に同社は、当日、定格出力6MWのディーゼル発電機を3台稼働することを選択した(定格総出力は18MW)。同発電機の最低負荷率は50%のため、ディーゼル発電機の最低出力は9MWとなり、太陽光の最大出力の想定値(7.84MW)を足すと16.84MWに達することになる。これは需要想定の16.4Wを0.44MW上回るため、1MWの出力抑制指令を出すに至った。

 こうした九電の需給想定や下げ代確保の内容に関し、広域機関は、需給の想定や予測の手法は「適切であった」と評価した。

 九電による出力抑制は、2015年5月5日に続き2回目になる。前回の出力抑制の検証で、広域機関は、改善点として、(1)需要想定のさらなる精度向上、(2)太陽光発電の最大出力想定、出力低下想定の精度向上――2点を挙げた。

 (1)に関し、九電は、前回の需要想定では5年前の実績を使ったが、今回は、直近の日曜日の実績に気温を補正するなどして算出した。また(2)に関しては、次年度から太陽光の「出力換算係数」を、九州本土のものから、島ごとの数値に変える予定としている。

 広域機関は、今回の検証結果の公表に伴い、参考として、出力抑制当日の実際の需給実績を公表した。それによると、下げ代が最少となった時刻は14時で、その際の需要実績は想定値の16.4MWに対して16.027MW、出力抑制後の太陽光の出力実績は、7.312MWとなった。仮に1MWの太陽光の出力抑制を実施しなかった場合、0.7~0.8MWの出力が加わり、その場合、太陽光出力は8MWを超えた可能性が高い。太陽光出力の抑制なしでの想定値は7.84MWだった。

 需要実績は想定値より約2.3%少なく、太陽光出力は約2%多かったため、ディーゼル発電機の出力は8.715MWとなり、定格出力の18MWから10.285MWの下げ代となり、48.4%の部分負荷での運転となった。

 広域機関は、ディーゼル発電機の最低負荷率を50%と設定していることに関し、メーカーなどにヒアリングした上で、妥当と判断している。今回、種子島での系統運用では、こうした最低負荷率を下回る運転を余儀なくされたことになる。