ペロブスカイト太陽電池の構造(図:NEDOのプレスリリースより)
ペロブスカイト太陽電池の構造(図:NEDOのプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と物質・材料研究機構(NIMS)は2016年3月28日、ペロブスカイト太陽電池の標準面積(1cm2)のセルで18%を超えるエネルギー変換効率を達成したと発表した(ニュースリリース)。ペロブスカイト太陽電池は、廉価な材料で構成されており、塗布という簡単な方法で大量生産できるため、製造コストを大幅に下げられる可能性があるという。

 今回の研究では、太陽光の吸収効率を上げるため、ペロブスカイト材料における2種類のカチオンの混合比を最適化した。さらに、一部ヨウ素を臭素に置き換えることで、ペロブスカイト層で欠陥が少なく大きな結晶粒子を得られた。この結果、光照射で形成された電子とホールを効率よく取り出せるようになり、短絡電流密度が21mA/cm2以上に向上した。

 このほかにも、ペロブスカイト層、電子輸送層、電子抽出層などの材料と膜厚を最適化することで太陽電池の電気抵抗を低減して、太陽電池の曲線因子を2割程度上げることに成功した。これらの成果をベースに作成した1cm角の太陽電池を測定した結果、変換効率18.2%を確認した。

 今後は、高性能の材料の組み合わせや各層の膜厚の最適化などにより、2016年中に変換効率20%を目指す。また、民間企業と共同で実用化研究を積極的に推進することで、従来型火力電力並みのコスト7円/kWhを実現し、さらなる太陽電池の普及に貢献するという。