経済産業省・資源エネルギー庁は3月22日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会を開催し、再生可能エネルギー電源を電力系統につなぎにくいという課題の克服に向け、対応などを議論した。

 同委員会では、再エネ電源に対する「発電側基本料金」の適用が議論された。「発電側基本料金」とは、電力系統の設備コストの一部を最大出力(kW)に応じて、発電側事業者に課金する仕組み。現在、電力システム改革の一環で検討が進んでいる。

 従来、電力系統設備のコストは、共通利用の多い部分については「一般負担」として電力需要家の支払う電気料金(託送料金)に含めている。また、共通利用の少ない設備は「特定負担」として、系統接続時の工事費負担金で発電事業者に請求している。

 「発電側基本料金」は、今後、電力需要が減少していく一方で全国的に分散電源が増加していくなか、系統への新規投資を円滑に進める目的で検討している。送配電網に接続する事業者に幅広く系統設備コストを負担してもらうのが狙いだ。

 原則として、再エネ電源を含め、すべての電源にkW一律で課金する。ただ、固定価格買取制度(FIT)で導入された再エネ設備の場合、買取期間中、固定価格で買い取られるため、発電側基本料金による追加コストを転嫁できないことが課題となる。

 そこで、今後、調達価格等算定委員会の場で、「FIT認定を受けた既存の再エネ電源」「発電側課金制度の導入後にFIT認定を受ける再エネ電源」に分けて、調整措置が検討されることになる。なお、事務局案では、住宅用太陽光については、発電側基本料金の課金対象外となっている。

 また、発電側基本料金の導入と併せ、系統接続時の初期負担(工事費負担金)のあり方を見直す方向も示された。発電側基本料金が「kW一律」であることから、系統接続時の初期費用の「一般負担」の上限についても「kW一律」とする。

 太陽光の場合、現在、一般負担の上限は1.5万円/kWだが、これを4.1万円/kWに引き上げる。これにより、太陽光接続時の系統工事費用における一般負担の割合が増え、太陽光発電事業者の支払う特定負担分(工事費負担金)が減るケースが出てくる。

系統接続時の初期投資の負担に関し、一般負担の上限値を4.1万円/kWの一律に
系統接続時の初期投資の負担に関し、一般負担の上限値を4.1万円/kWの一律に
(出所:経済産業省)
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 同小委員会では、こうした方向性に異論がなかった。ただ、一部の委員会から、「既存FIT電源のうち、利潤配慮期間の高いIRR(内部収益率)を元に算定した調達価格の案件についてまで、調整措置を適用する必要はない」との意見もあった。

 「発電側基本料金」の導入は、「早くても2020年度以降になるとみられる」(事務局)。正式に導入が決まった時点で、それに間に合う形で、FIT算定委員会で、議論することになるという。

メガソーラーも「発電側基本料金」の課金対象に
メガソーラーも「発電側基本料金」の課金対象に
(出所:日経BP)
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